PC遠隔操作事件で使われたソフト「Tor」 発信元を匿名化、海外では悪用例も

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違法薬物の取引サイトへのアクセスに悪用

   2012年12月17日付の米ウォールストリートジャーナル紙(WSJ)電子版は、Torの問題点を指摘する記事を掲載した。米国の児童保護団体の責任者は、Torが「児童ポルノ画像をやり取りする際に定期的に利用されている」と指摘。またTorネットワークに参加したオーストリア在住のユーザーが、児童ポルノ画像配信の疑いで取り調べを受け、PCを差し押さえられたという。本人は犯行を否定したが、この人物のPCが「経由地」として利用された可能性は残る。だがこうしたケースで、Torの運営側が対策を講じられるわけではない。

   英大衆紙「デイリーメール」電子版「メールオンライン」は2013年1月27日付の記事で、Torが「アラブの春」と呼ばれる中東民主化運動に貢献した半面、身元を隠せることから違法薬物の取引サイトへのアクセスに使われていると伝えた。実例は示されていないが、在英のTor利用者の一部は、武器やコカインの売買から偽装結婚まで取り扱っており、さらには「殺し屋」の契約まで結べるとの話まで出ているというから驚く。

   匿名化、暗号化の「功罪」についてTorの運営元は公式サイトで「確かに犯罪者が悪用する恐れはある」と認める。一方で「Torを排除することで、犯罪者の悪事をすべて止めるというのも難しい」。運営側では、Torを悪用してのストーカー行為や身元情報の不正入手といった行為には対抗できるとしている。

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