国連で「水俣条約」に合意 2020年以降、水銀製品の製造や輸出入を原則禁止

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   人体に有害な水銀を使った製品の製造や輸出入を2020年以降、原則禁止することなどを盛り込んだ「水俣条約」が2013年1月、スイスのジュネーブで開かれた国連の政府間交渉で合意された。水俣病が発生した熊本県で今年10月に開かれる国際会議で正式に採択される予定だ。

魚介類を通して人体に取り込まれる

   交渉には約150カ国が参加。閉幕式で環境省の谷津龍太郎・地球環境審議官が「水俣病と同様の健康被害や環境破壊を世界で繰り返さないという決意を込め『水俣条約』と名付けることを望む」と提案し、全会一致で承認された。条約は、50カ国が批准してから90日後に発効する。国連環境計画(UNEP)のシュタイナー事務局長は「2016年までに発効させたい」としている。

   UNEPによると、人の活動による大気への水銀排出は2010年に世界で約2000トンと推定され、6割を小規模金採掘と石炭燃焼で占める。水銀は気流に乗って世界をめぐり、海に流れ込む。水銀を蓄積した魚介類を食べると人体に取り込まれる。いわばグローバルなリスクとなっているのだ。

   これに対し条約は幅広い規制を盛り込んだ。石炭火力発電所などからの排出が多いのは中国やインドなどだが、先進国からの資金や技術援助を前提に合意に漕ぎ着けた。工業での水銀使用については、日欧の提案に沿って水銀式血圧計や水銀を一定量以上含む蛍光灯など9品目の製造と輸出入を2020年以降は原則禁止するとした。

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