「アベノミクス」で通貨安競争か? アジア通貨反落

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   「アベノミクス」効果で日本の円安が進むなか、欧米や韓国などから「円安誘導」への批判がくすぶっている。

   そうした中で、韓国ウォンやマレーシア・リンギットなどがドルに対して値下がり始めた。市場では自国通貨売りの介入があるとの観測も出ている。

やり過ぎなのか? 円安誘導に欧米や韓国から批判

   円安が止まらない。2013年2月8日の東京外国為替市場の円相場は一時、1米ドル93円74銭まで下落した。安倍政権が誕生してから約10円も円安が進んだ。

   これも「大胆な金融緩和」を実行するという「アベノミクス」効果で、おかげで株価も12月初旬の9500円台から1600円超も値上がりした。自動車産業を中心に、輸出企業の業績も回復基調にある。

   円安傾向を加速させたのは、米国景気の回復もある。さらに欧州の債務不安が落ち着いていることや日本の経常赤字(ドル需要の超過)など、ファンダメンタルズは円安方向を示している。2月9日には海外市場で1米ドル94円を超えた。

   それもあって、麻生太郎財務相が急速な円安に懸念を表明したが、いまのところ日本にとっては「好ましい」影響が出ている円安ではある。ただ、一方で日本の円安誘導は「やり過ぎ」と、海外からの反発もある。

   なかでも、韓国は批判的。韓国ではウォン相場が2012年6月初めの1米ドル1180ウォン台から、12月~13年1月半ばにかけて1070ウォン台と約半年で約110ウォンも急騰したウォン高にある。そのため、輸出産業が支えている韓国経済は急速に国際競争力を弱めている。

   ドイツのメルケル首相は2013年1月に開かれた世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス会議)以降たびたび、金融緩和策を強化した日本について、「(為替操作が競争をゆがめている)不安がまったくないわけではない」とけん制。米国でも自動車貿易政策評議会が「円安による日本の経済成長は他の貿易相手国を犠牲にしようとしている」と批判した。

韓国ウォン3か月ぶり、台湾ドル5か月ぶりの安値水準

   こうした海外からのバッシングに日本は、金融緩和策はデフレからの脱却が目的であり、現状の為替の動きは「一方的な行き過ぎた円高の修正」であることを強調している。

   そうしたなか、外国為替市場で最近、ドルなどに対して上昇してきた韓国ウォンや台湾ドルなどが反落している。

   2013年2月9日の韓国ウォンは、対米ドル相場で1ドル1096ウォン台と、12年11月5日以来のウォン安・ドル高で推移している。

   台湾ドルは1米ドル29.7台湾ドル台、マレーシア・リンギットも1米ドル3.10リンギット台と、いずれも5か月ぶりの安値水準にある。タイ・バーツは1米ドル29.77バーツの水準だ。

   アジア諸国は外需への依存度が高いため、通貨高は輸出競争力を低下させる。その代表的なのが韓国だが、できるだけ自国の通貨価値を低く抑えたい。そのため、円安をきっかけに、アジア諸国が自国通貨の引き下げに動き出したというわけだ。

   ウォン高が続いた韓国では輸出企業による政府への圧力があるとされ、為替介入がささやかれていた。それだけに、ウォン売り介入があるのではないか、との観測もある。

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