政府が描く好循環が賃金上昇に波及するかがカギ
しかし、「政府の見通しのとおり実質2.5%成長できたとしても需給ギャップは解消せず、デフレ慣れした国民の気分が簡単には変わらない」(エコノミスト)ため、企業が値段を上げにくい状況は続くとの指摘が多い。このため、エコノミストは10人の平均で、成長率は名目1.6%、実質2.0%(日経新聞)となり、2013年度の「名実逆転」の解消は困難との予測だ。
そこでカギになるのが、政府が描く好循環が賃金上昇に波及するかだ。政府からは、安倍晋三首相が2月5日の経済財政諮問会議で「業績が改善している企業には、報酬の引き上げを通じて所得の増加につなげるようお願いしていく」と述べるなど、賃上げへの期待を示すが、春闘を巡っては、経営側のガードは堅い。
ガソリン価格がジワジワ上昇するなど円安により輸入物価上昇するのに家計収入は増えずに生活が苦しくなるだけの「悪い物価上昇」の懸念もささやかれる中、物価上昇が賃金上昇に波及して消費を拡大し経済を成長させる「良い物価上昇」をいかに実現するか。期待先行で滑り出し好調のアベノミクスは早速、真価を問われる。