接客は評価されるが待ち時間の長さに不満
ドコモは端末だけでなく「現場力」、すなわち販売店での接客強化も目指しているようだ。2013年2月5日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系)は、ドコモが年に1度開催する「接客コンテスト」の様子を取り上げた。全国3万5000人の店頭スタッフのなかから勝ち抜いた9人が、都内の会場内につくられた模擬店舗で実際に接客術を競うものだ。
顧客に扮した人が「KDDIのiPhone5を購入したいので、ドコモを解約したい」と店を訪れたという設定もあった。番組の取材に応じたコンテスト出場者のひとりは、実際に同様の場面で「iPhoneでやりたいことを聞いてみると、ドコモのスマホでできることも多い。そのことをお客様にお知らせし、ご提案します」と話していた。他社への流出を食い止めるために、機能的にはドコモのスマホがiPhoneに十分対抗できることを直接伝えるというわけだ。
木暮氏もドコモ販売店の接客は高く評価するが、「それだけで現状を打破するのは難しい」と首をひねる。店頭での接客向上を目指しているのは、競合他社も同じだ。また接客内容の質とは別に、混雑による待ち時間やサービス内容の複雑化による説明時間の長さといった不満を口にする顧客も少なくない。
ドコモはiPhone発売の有無について、いまだに明確な答えを出していない。木暮氏は2012年12月7日付のJ-CASTニュース記事の中で、事業戦略を見直して「iPhoneを発売すべき」と主張していた。今回の取材でも同様の考えを示したうえで、「通信料金でかせぎたい、電話会社の視点でスマホをつくりたい、との考えを捨てて、今こそ視野を広げて客のニーズに応じた商品開発に努める姿勢が重要」と強調した。