旧正月を目前に控えた中国で不可欠なのが爆竹や花火だ。その中には、日中関係が緊迫している2013年に特徴的な、日本にからめた「東京大爆発」といった過激な名前のものも登場し、中国版ツイッター「微博」でも話題になっている。
ただ、北京市民の最近の関心事は大気汚染。爆竹は汚染を悪化させる上に、花火を積んだトラックが爆発して橋が崩落した最近の事故を思い出させるとして、かなりひんしゅくを買っているようだ。
「340元(約5千円)で東京を爆破できるなら安いものだろう」
話題を呼んでいるのは、共同通信が北京発で1月5日に配信した記事。同日、花火や爆竹の販売が解禁され、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)を愛している」「東京大爆発」といった名前のものもお目見えしたという。12年9月の尖閣諸島の「国有化」に端を発する反日ムードに乗じた動きだと言えそうで、記事によると、店主は、
「340元(約5千円)で東京を爆破できるなら安いものだろう」
などとアピールしていたという。
この記事は中国語に翻訳されて共同通信の中国語版ウェブサイトに掲載され、同社の「微博」公式アカウントでも配信された。コメント欄には、すでに300件以上の書き込みが寄せられている。政府が対日批判の書き込みをコントロールしている可能性はあるが、どういう訳か「爆破してしまえ」といった威勢の良いものはほとんど見あたらず、ネーミングに批判的なものが大半だ。
批判の内容は大きく3つ。1つ目が、発想の貧困さを指摘するものだ。
「こういう表面的な反日は、とてもつまらない」
「海外が中国世論に向ける関心が減るだけだ」
と分析するものや、
「馬鹿すぎて言葉がない」
「一部の人の無知をお許しください」
と嘆く内容だ。
花火満載のトラックが爆発する死亡事故があったばかり
2つ目が、大気汚染の悪化を受けて当局が爆竹の自粛を呼びかけていることを反映したもので、
「北京の空気はこんなに悪いのに、なぜやめないのか。今年は自分は買わないし、子どもにも買わせない」
と、爆竹を宣伝すること自体に批判的な声だ。3つ目が、ネーミングの不謹慎さを指摘する声だ。2月1日には、河南省三門峡市の高速道路で爆竹や花火を載せたトラックが突然爆発する事故が起きたばかりだ。爆発では、全長160メートルあった橋のうち約80メートルが崩落し、車やトラック25台が落下。少なくとも9人が死亡し、11人がけがをしている。コメント欄には、
「東京は爆発せずに、僕らの橋が先に爆発した」
「爆竹に『爆発して橋が落ちる』という名前をつけるやつが、どこにいるのか」
といった、やや自虐的な声が出ている。