1月21日に、ゆいっこ花巻(以下ゆいっこ)の望月達也(筆頭)代表から、花巻市長に、要望書を提出しました。内容は、いまだ500人以上いる内陸避難の皆さんへの、「花巻市民と同等」以上のサポートの要請です。
当初ゆいっこは、行政の持つ内陸避難者の名簿に触れることはできませんでした。そこで2011年の9月に、ゆいっこ宛の切手付き封筒と簡単なアンケートを準備し、花巻市から内陸避難の皆さんに送られる封書に同封して頂きました。ゆいっこに返ってきたアンケートは、約170通。花巻市に内陸避難しているとされていた世帯数の半分ちょっとでしたが、その皆さんを対象に毎月ゆいっこ新聞をお送りし、各世帯が置かれた状況を少しずつ確認しながら、物資提供や、横のつながりを作るための催し物を行ってきました。
中でも「気掛かり世帯サポート」は、私達が持つ名簿の中で、一人暮らしをしている60歳以上の皆さんを対象に始めました。きっかけは、震災があった2011年度の年末に一人で年越しをする皆さんは、心細い思いでいるのではないかという意見が挙がったことでした。そして、各世帯を訪問して、担当スタッフの緊急連絡先を書いた紙を一軒ずつお渡しし、年末を1人で過ごすという方には、小さなおせちと九州から届いた丸餅をお届けしました。
このようにして始まった気掛かり世帯サポート。11人のスタッフで、3、4人ずつ担当し、緊急連絡先をお知らせしておくこと、月に一度程度は訪ねることを旨に、各々顔の見える関係を築きながら、活動を続けてきました。これまでに二度、担当者の元に緊急の電話が入り、病院にお連れする事態が起きています。
このような中、以前にもこのブログでお伝えしたように、昨年10月に、花巻にお一人で避難していた50代の男性が亡くなりました。この件を受け、ゆいっこでは、「気掛かり世帯サポート」の枠を、急遽拡大しました。60歳未満の1人暮らしの方、要介護者のいる世帯、母子・父子世帯の中で、近くに身寄りの無いお宅には、同様に担当スタッフを決め、緊急連絡先をお知らせしました。
ただ、今回の件では、私達の限界も思い知らされました。ボランティアで活動しているスタッフが、「どんな時でも駆け付ける」という責任を負うことはできませんし、いくら親密な関係を築いていても、被災者のかたが夜中の緊急電話を遠慮することも考えられます。また、私達の把握していない所で、より多くの気掛かり世帯があるはずですが、その全員に対応できるだけのスタッフ数は、ゆいっこにはありません。やはり、花巻市に、「花巻市民と同等」以上のサポートが必要である現状を直視して頂き、他の内陸市町村で行われているような被災者・被災地支援を要望すべきという流れになりました。行政や社会福祉協議会にも力を出して頂き、長く続く支援を目指していきたいと思っています。
今回の要望書では、花巻市と社会福祉協議会、ゆいっこの三者による連携機関の設立を提案しました。市長からは前向きなお返事を頂き、近く三者の協議の場が設けられることになりました。どの人もみな、1日も早く幸せになれることを願っております。
写真:岩手日報(2013.1.22)
ゆいっこ
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ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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