3度目の核実験強行が確実視される北朝鮮当局が、宇宙旅行をテーマにしたCG動画をユーチューブに公開した。
動画は、写真家が宇宙旅行をしながら地球を眺めるという内容で、人工衛星と称する事実上の弾道ミサイルの打ち上げを「平和目的」だとして正当化する狙いがあるとみられる。だが、動画の内容には米国の都市が焼き尽くされる様子も含まれており、これまでになく挑発的だ。
We Are The Worldのピアノ演奏が全編にわたって流れる
動画は、北朝鮮の祖国平和統一委員会が運営するウェブサイト「我が民族同士」を名乗るアカウントが2013年2月2日にユーチューブにアップロードした。「『銀河(ウンハ)9号』に乗って」というタイトルで、長さは3分36秒。全編にわたって、1985年に米国で発売された「ウィー・アー・ザ・ワールド(We Are The World)」のピアノ演奏がBGMとして流れており、朝鮮中央テレビで流れるような勇ましいプロパガンダ映画とはほど遠い。
だが、内容はかなり挑発的だ。北朝鮮の写真家とみられる男性が、キヤノン製の一眼レフカメラを手に、ロケット「銀河9号」で打ち上げられた有人宇宙船「光明星(クァンミョンソン)21号」に乗って宇宙旅行を楽しむ夢を見る、という内容だ。
なお、12年12月に北朝鮮が打ち上げに成功したとされるロケットは「銀河3号」で、軌道に投入された物体は「光明星3号」だ。
スペースシャトルに似た宇宙船が周回軌道に乗る
動画では、全機が退役した米国のスペースシャトルに似た宇宙船が周回軌道に乗り、主人公が地球を眺めるのだが、朝鮮半島では、統一旗を持った人が喜んでいる様子が見えるのに対して、
「米国のどこかで黒煙が見える」
という字幕に続いて、黒こげになった星条旗と、ビル群が爆発する様子が映し出される。さらに、
「戦略戦争のみに走った悪の巣窟が、自らつけた火で燃えているようだ」
という字幕が続く。動画は、
「帝国主義者などのあらゆる孤立圧殺策動も、統一されて強盛復興する白頭山大国、わが人民の前途を阻むことはできない」
というメッセージで終わる。
米国務長官「さらなる段階に進むのであれば、さらなる結果」
なお、就任したばかりのジョン・ケリー国務長官は韓国の金星煥(キム・ソンファン)外交通商相、岸田文雄外相と相次いで電話会談し、ミサイル発射を非難する国連安保理の決議に従う形で「北朝鮮が挑発的行動を継続し、さらなる段階に進むのであれば、さらなる結果がもたらされる」ことを確認している。電話会談の内容は、2月4日(米国東部時間)、ヌーランド報道官が定例会見で明らかにした。