歌舞伎俳優の市川團十郎さんが亡くなったことに関して、精神科医の和田秀樹氏(52)がブログで過激な意見を展開している。
「不特定多数の女性との性交が、がんや白血病などの原因になるのでは」というもので、インターネット上では「故人の冒涜だ」という批判もある。和田氏が言うように性行為ががんや白血病を引き起こすことはあるのだろうか。
「遊んでいるとガンになると子供に教えるべき」
2013年2月4日、和田氏は「教育で教えるべきこと」というタイトルのブログを更新した。
白血病との壮絶な闘いを続け、肺炎で亡くなった團十郎さんについて、「また歌舞伎の大御所が亡くなった ここからは私の勝手な妄想だが」と前置きした上で、こう書いている。
「やはり若いころに不特定多数の女性と交わるのは、がんや白血病や免疫不全の原因になるように思えてならない ウィルスというのは、少なくともDNAを変質させる どんな危険があるのかわかっていないウィルスが多いがHPV、HCVをはじめ、明らかにガンの原因になるものは多数見つかっている」
「歌舞伎の世界というのは、男だけの世界なので、男色の予防とか、子孫を絶やさないためにとかで、今の日本の価値観からすると、性的に寛容な世界であるとは聞く これは伝統文化なのだから、外からとやかくいうべきでないし、芸の肥やしなのかもしれない ただ、今の時代、それが命がけになってしまっただけの話だろう」
「なんで、こんな妄想的な話をしたかというと、子供の教育には、子供の性教育には使えると思ったからだ(中略)あんまり遊んでいると、あるいはゴムを使わないと、ガンになって若死にするぞと、こういうニュースを聞いて、子供に教える テレビでは言えないが、子供にだって多少こたえるのではないか?」
「妄想で死者を罵倒するのか」と非難
インターネット上ではこのブログに対して、「『ヤリチンはガンになる』とか頭だいじょうぶかこいつ」「妄想で記事書くんならもっと良い事書けよ」「ガン患者への冒涜!亡き父親はガンだったが浮気は一切しなかった」「医者が死者を鞭打つのもどうかと思うのに、精神科医が妄想で死者を罵倒したの?」などの非難が続々と書き込まれている。一方、「識者来てくれ」「専門家の人に聞いてみたいなー」など、和田氏のブログが本当なのか確かめたいという人もいる。
国立がん研究センター がん対策情報センターが運営するサイト「がん情報サービス」によると、性行為が原因となる場合があるがんは、肝臓がん(肝炎ウイルスが要因)、子宮がん(低年齢での性体験や不特定多数の性行為の相手がいると感染しやすいヒトパピローマウイルスが要因)、陰茎がん(性感染症やヒトパピローマウイルスが要因)の3つがあげられている。
また、性感染症情報のまとめサイトには、「成人T細胞白血病リンパ腫」という病気は「成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)」に感染するとまれに発症する場合があるのだが、このウイルスは性行為によって感染する可能性があると書かれている。
性行為が原因となりうるがんや白血病は確かに存在するが、團十郎さんが04年に発症した急性前骨髄球性白血病、05年に診断された骨髄異形成症候群という病気はいずれも性行為が原因になるとは言われていない。
「勝手な妄想」と断っているが、「團十郎さんのニュースを聞いて、遊びすぎるとガンになって若死にする」と子供に教えるべき、という趣旨の和田氏の意見は、別々の話を無理につなげた形となっている。
なお、和田氏は2月5日に更新したブログで、「若くてがんになった人がみんなセックスでウィルスが入ってきたせいだという非科学的なことを言うつもりはない そういう人もいる可能性があると私が信じているだけだ」「まだセックスでどのようにウィルスの感染が起こり、それがどの程度がんにつながるのかは、よくわかっていないというのが真相だろう でも、多少のリスクがあるのは確かだ だから、私は自分の子どもにだったらそういうリスクを伝えると思う」と、問題になったブログについて弁明している。