大阪市立桜宮高体育学科の入試中止の是非を巡り、橋下徹・大阪市長がまた、言論人にかみついた。
作家の曽野綾子氏やワイドショーの小倉智昭キャスターらに続く、新たな論敵はジャーナリストの鳥越俊太郎氏だ。橋下氏を「裸の王様」と新聞コラムで批判したのに対し、ツイッターで「反権力姿勢を示したいだけの似非人権派」などと徹底反撃している。
鳥越氏「体罰と入試中止の問題はつながらない」
橋下氏が刃を向けた鳥越氏のコラムは、毎日新聞の土曜日朝刊に連載している「ニュースの匠」だ。2013年2月2日の回は、「体罰問題で入試中止」「王様のいいなり」の見出しで、教訓的な童話を使って橋下市政をこう揶揄する。
「大阪・桜宮高校で起きた体罰と生徒の自殺、そしてその後、橋下徹・大阪市長が入試中止を声高に叫んで実行させたこと。この一連の経過を見ていて、私はやはりこれは『裸の王様』だな、と思ったのです」
次にアンデルセンの「裸の王様」のあらすじを簡単に紹介したあと、桜宮の入試中止のきっかけとなった体罰について「体罰を超えた暴力」「改善すべきところは改めなければなりません」とつづる。
鳥越氏は続いて本論に移り、「体罰と入試中止の問題はどう考えてもつながりません。論理的に飛躍があります」と強調する。「学校の伝統や空気を一新させる」ために体育学科の入試中止に踏み切ったことに関し、「常識的に無理がある理屈」「入試をやめれば体罰問題が解決するなんてことはありません」とダメ出しする。
コラムの最後の部分は、入試中止措置に真っ向から反論したのは在校生たちだけで、「裸の王様に大人はいいなりになっただけ」と結んでいる。枝葉の部分ではあるものの、鳥越氏は体罰の是非などを巡る橋下市長の発言内容にブレがあることも指摘した。