老朽化対策を口実に公共事業肥大化の懸念
国交省によれば、全国の道路橋(15メートル以上)のうち、建設後50年以上を経過したものは、2011年度では約9%に過ぎなかった。しかし、10年後は約28%と4分の1を上回り、20年後は約53%と半分を超える。港湾岸壁などもほぼ同じような状況だ。こうした実態を放置しておけば、笹子トンネルのような重大事故が再発しかねない。国交省が「国民の命を守ることが第一」(太田国交相)として対策を強化し、必要な国費を投入するのは必要な対応だ。
ただ、インフラの老朽化対策が口実にされ、いたずらに公共事業が増大しかねないという懸念はぬぐいきれない。景気対策の手段として公共事業を利用し、国の財政悪化を招いたこれまでの過ちがそうした懸念を強めている。本当に必要な公共事業が実施されるのだろうか。厳しい監視の目がいっそう必要となってくる。