80年代、甲子園の「KKコンビ」といえば高校球児のあこがれの的だった。プロ球界でもそれぞれ一時代を築き、いずれ劣らぬ実績を残した。ところが現状はというと、桑田真澄が東大野球部の特別コーチに就任したのに対し、清原和博は黒い交際を週刊誌に報じられる有様。明暗がはっきり分かれている。
東大コーチ就任で「模範演技」見せる
元巨人投手の桑田はまさに「時の人」。2013年1月27日、都内の東大球場で報道陣のカメラが回る前で初めての指導を行った。内野手にノックをした後、自らノックを受けてゴロの捕球、送球をして見せた。
そしてマウンドに立ってピッチング。現役時代をほうふつさせるコントロールの良さに、選手たちは「ホーッ」とびっくりした声を上げた。まさに模範演技だった。
「野球は考えるスポーツ。彼らは日本で一番考えることの出来る集団ですよ」
東大は昨年秋のリーグ戦まで46連敗中。これまでに元中日の首位打者として知られた谷沢健一の指導を受けたが、1勝に届かなかった。
桑田はまた「スポーツと体罰」の問題でもマスコミから引っ張りだこ。これは大阪市立桜宮高で発覚した体育教師の体罰と生徒の自殺に関するもので、朝日新聞紙上やNHKテレビなどで「体罰は意味がない」と持論を展開し、ちょっとした教育評論家の扱いを受けている。
「黒い交際」報道で清原の野球殿堂入りに暗雲?
こんなおりPL学園時代にエース桑田とともに大注目を集めた清原に、良くない話が27日発売の週刊ポストにぶち上げられた。
スクープ!の下に「逮捕」直前に撮影された清原和博と山口組(弘道会)資金源の「親密交際写真」と全国紙に広告。さらに、写真については「本誌直撃後、ブログから削除」と付け加えている。清原についてはこれまで何度か黒い交際が取り沙汰されたが、今回は4ページを割く深刻なものである。
内容は、別に清原が悪さをしたと指摘されているわけではない。あくまでも交流関係の話だ。しかし、スポーツ界はうさんくさい報道に過敏で、清原にとって大きなイメージダウンであることは間違いない。
清原は西武の黄金時代を支えた功労者。当時のチームメートだった秋山幸二はソフトバンク、渡辺久信は西武の監督として実績を残し、今年から伊東勤がロッテ監督としてカムバックした。彼らは清原をどう見ているだろうか。
KKコンビはあまりにも対照的な形となった。清原は順当なら野球殿堂に資格1年目で選ばれる成績を残しているが、これも票が入らなくなるだろう。早くも「野球に関する仕事は激減するだろう」との声が出ているし、テレビのバラエティー番組も「使いにくいだろう」との予測もある。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)