大阪府枚方市で中国人夫婦が母国でマンションを持ちながら生活保護費を不正受給していたことが分かり、ネット上で疑問が相次いでいる。そもそも外国人に支給すべきではないとの声が多いのだ。
外国人の不正受給としては、偽装離婚、書類偽造などがある。今回は、海外資産を隠していたケースだった。
母国のマンション売却で4100万円も入金
報道によると、ともに中国籍の無職の男(64)とその妻(63)は、枚方市福祉事務所に無収入と申告し、2005年12月から支給を受けた。ところが、夫婦には複数の預金口座があり、それ以降、保護費以外に計約4100万円もが入金されていた。
06年12月には、保護費の半年分を上回り、それだけで廃止対象になる約180万円が入金されていた。それにもかかわらず、12年8、9月に保護費計20万円ほどをだまし取ったとして、2人は13年1月9日、詐欺の疑いで大阪府警に逮捕された。不正受給額は、約1000万円にも上るとみられている。30日には、詐欺罪で大阪地検に起訴されている。
2人は当初、「家族が振り込んだ」「一時的に預かった」などとして収入ではないと主張し、容疑を否認していた。ところが、産経新聞のこの日の記事によると、「中国に持っていたマンションを売却して金を得ていた」と供述した。つまり、母国にある資産を隠していたわけだ。
行政は、こうした資産について調べられなかったのか。
枚方市の生活福祉室では、取材に対し、こう説明する。
「生活保護申請するときに、土地・家屋などの資産について申告してもらいました。そのうえで、本人の同意書をもらって、各金融機関に照会して預金口座を調べましたが、問題は見つかりませんでした。こうしたことから、資産はないと確認しました。本人の申し立てに基づいて、親や兄弟が援助できないかも確認しています」
外国人には支給すべきではない?
とはいえ、中国にマンションを持っており、売却代金を得ていたことを見抜けなかったわけだ。この点について、枚方市生活福祉室の担当者はこう言う。
「疑いがあるときは、法務局で登記簿を調べますが、今回は調べられませんでした。中国にあっては、調査ができないからです。確かに、不正を見抜くには、限界があります」
外国人の場合、領事館に問い合わせる方法もあるが、今回は、問い合わせていないという。
生活保護を外国人が受給できる条件は、永住者か定住者、難民認定を受けた人、日本人配偶者がいる人に限られている。今回の中国人夫婦については、「条件の1つに該当していました」と担当者が説明した。
そもそも、不正が発覚したのは、大阪入国管理局から、2人が中国へ渡航しているという情報の連絡が枚方市にあったことからだった。渡航するだけのお金を持っていたわけで、市が府警に協力を求め、府警の国際捜査課などで捜査したところ、2006年12月に180万円が入金されている事実をつかんだ。
このことからも、行政だけの審査には限界があることが分かる。
外国人への生活保護費支給について、ネット上では、「渡さなければいいだけの話」「母国のセーフティネットに頼れ」といった疑問が相次いでいる。この点について、厚労省の保護課に聞くと、担当者は「入管の段階で、生計維持能力がない人は審査で入国できないことになっていますが、入国後に身元保証人がいなくなることもあり、一概に支給すべきでないというのは難しい」と話した。