「由々しきは橋下市長の学校介入」
市教委を自らの方針に従わせ、小倉氏との論戦にも完勝した橋下氏だが、市長のトップダウンで進む学校改革への異論は絶えない。
「とくダネ!」にも保護者からはこんなメール、ファクスが寄せられた。「体罰は×です。変えてほしいですが、それ以外は日本一(の学校)だと思っています」「(先生たちによる)すばらしい指導だからみんなこの学校を愛し、誇りを持って生きているんです」「子供のことを第一にかんがえてあげてください」。
保護者や弁護士ら約170人でつくる「桜宮高校から体罰をなくし、改革をすすめる会」は1月30日、部活の早期再開と教員総入れ替えの中止を求める書面を市教委に提出。「部活中止によって一部の生徒は予定していた大会に出場できず、大学推薦の要件が欠ける事態も起きている」と指摘した。
産経新聞によると、文書提出後の記者会見では2年男子の母親が「息子は部活中心の生活で大学も(運動部での実績による)推薦しか考えていないのに、練習できずモチベーションも下がっている」「子供の運命を軽く考えている」と訴えた。別の保護者は「一生に一度の新人戦に出ることができなかった。大人が考える以上に子供は傷ついている」と早期再開を要望したという。
一方、かつて橋下氏から「バカ文春」と罵倒された週刊文春は1月31日発売号(2月7日号)で、体罰批判と学校批判を続ける橋下氏への反論記事を5ページにわたって掲載した。
記事の真偽はともかくとして、自殺した生徒A君の同級生によると、「A君には(体罰の)他にもっと悩んでいることがあった」という。そして体罰以上に悩んでいたのは「バスケの推薦で進学できると信じてA君は嫌々ながらもキャプテンをやっていたのに、自殺の前日に顧問から『キャプテンをやったからといって、大学にはいけない』という現実の話をされた」ことだというのだ。
また体育学科の入試中止について、週刊文春のメールマガジン読者を対象にしたアンケート(1月22日~28日、回答総数967)では、「とくダネ!」とは大きく異なり賛成44%で反対は56%だったという。
記事には前出の「桜宮高校から体罰をなくし、改革をすすめる会」発起人の伊賀興一弁護士も登場し「今回の件で一番由々しき問題は橋下市長が『体罰に反対できるのは自分しかいない』と学校に介入したこと。辛いけど立ち直ろうとしている生徒や保護者の気持ちを妨害している」と批判している。