自動車業界は一歩前進とはしつつ不満強い
今回の税制改正論議は、この対立する主張にどう折り合いをつけるかが問われた。結論から書くと、取得税については消費税が10%になる2015年段階で廃止することとし、代替財源論議を先送りし、重量税は存続と、業界・地方自治体が痛み分けの玉虫色の決着になった。取得税は税率が5%なので、2015年時点で消費増税分と相殺されることになり、自動車業界は一歩前進とはしつつ、8%への引き上げ段階では取得税もそのまま残るため「引き上げ前の駆け込み需要とその後の反動減が心配」(大手メーカー)との不満は強い。
また、現在、ハイブリッド車などはエコカー減税で取得税が今も免除されているので、消費税上げ分はそのまま負担増になるという皮肉な事態になる。このため、エコカー優遇策の拡充が課題として残った。
この間の議論はかなり迷走した。それはマスコミの報道ぶりの混乱を見ればよくわかる。1月19日付朝刊で、「毎日」は「2税廃止見送りへ」と早々に踏み込んで「特ダネ」を報じると、20日朝刊で「読売」が「取得税廃止へ」と打ち返し、「日経」は21日朝刊段階でも「取得税に廃止案」と、まだ慎重。
この時点の廃止論は取得税廃止の税収の穴を重量税の国の税収部分で埋めるというもので、経産省が妥協案として18日に自民党税制調査会小委員会で示したものだった。当面存続するという意味では「毎日」の「廃止見送り」も間違いというわけではなく、読売などの廃止論も、2015年に先送りされたという意味で、最終結論とは違っており、報道も痛み分けだった。