メラトニンが分泌されず「脂質異常症」になることも
メラトニンは脳の松果体から夜間に分泌されるホルモンで、生体リズムの調整や、うつ病、認知症、がん、高血圧などを予防する効果が報告されている。昼に日光を浴びればこのホルモンが出やすくなるが、就寝中に人工の光であっても浴びてしまうと分泌がなくなってしまうのだそうだ。そのため「脂質異常症」になってしまう場合があるのだという。
大林さんたち研究グループは10年から大規模な研究「平城京スタディ」を立ち上げ、光、温熱、騒音などの住環境がどのように健康に影響しているかの調査を始めていて、今回の就寝時の光に関してもその一環として調査した。もともとの人間は昼は日の光を浴び、夜は暗闇で寝る、そんな生活パターンだったのが、現在は昼は人工光で仕事をし、夜も人工光を浴びて寝るとすれば、本来の人間が持っている生体のリズムが狂ってもおかしくはない。
「太りたくなければ夜は暗くして寝たほうがいい、という可能性が出たわけですが、根本的には生体リズムを取戻すことが重要なわけで、光が人体に与える影響については更に研究が必要だということでしょう」
と大林さんは話している。