自民党の議員連盟「TPP参加の即時撤回を求める会」の会員が衆院選前の118人から203人(1月23日現在)と、2倍近くに増えたことが自民党の内部資料で明らかになった。
自民党の衆参両院の国会議員(377人)の過半数(約54%)を占める一大勢力となり、政府・与党が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加・不参加を判断するに当たり、与党内で大きな影響をもつのは間違いない。
「聖域なき関税撤廃が前提」ならば反対
同会のメンバーには農水族議員だけでなく、茂木敏充経済産業相、田村憲久厚生労働相、小野寺五典防衛相、古屋圭司国家公安委員会委員長、森まさこ内閣府特命担当相、稲田朋美内閣府特命担当相ら現職閣僚のほか、党三役の野田聖子氏、高市早苗氏も名を連ねている。閣僚経験者では町村信孝氏、額賀福志郎氏、鳩山邦夫氏、細田博之氏ら大物議員も参加。会長は森山裕衆院議員、事務局長はJA出身の山田俊男参院議員が務めている。
自民党はTPPについて、昨年末の衆院選の政権公約で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」と明記している。「聖域なき関税撤廃」とは、コメや小麦、乳製品など、従来のWTO(世界貿易機関)交渉で、関税が撤廃されると海外からの輸入が急増し、地域経済や食料の安定供給に大きな影響が出る「重要品目」を指しているとみられる。
換言すれば、コメをはじめとする重要品目の関税が例外として認められるなら、TPP交渉に参加してもよいというのが政府・与党の本音とみられている。
TPPをめぐって茂木経産相が「実際に聖域なき関税撤廃が本当に(米国はじめ参加国の交渉の)ベースになっているのか、検証しなければいけない」、甘利明経済再生担当相が「参加国がそれぞれの貿易自由化のメリットを享受できる手法があるはずだ」などと記者会見で述べ、交渉参加に前向きな姿勢を示している背景には、こんな事情がある。
茂木経産相は日本商工会議所の岡村正会頭との会談で「例外のない経済連携はありえない。米国とどういう協議が可能なのか、打ち合わせていく」とも述べ、重要品目を関税撤廃の例外として認めるよう、米国との事前協議で働きかける考えを示している。