大阪市立桜宮高校の体育系学科の入試中止をめぐり、意見が対立していた大阪市の橋下徹市長と「とくダネ!」(フジテレビ系)のメーンキャスター小倉智昭氏の「直接対決」が2013年1月29日、同番組内で行われた。
「バスケ、バレー部以外でも(体罰は)常態化」「在校生も保護者も現状を『是』としている」--。入試中止に至った同校の問題点をこう指摘した上で再建への持論を展開する橋下氏に対し、小倉氏らは時折質問をはさむ程度で、両人の本格的なバトルを期待した視聴者にとって「肩透かし」の番組内容に終始した。
「体罰について在校生や保護者の多くが是としている」
橋下市長と小倉氏の直接対決のきっかけは、13年度の体育系学科の入試中止決定を巡って小倉氏が「在校生や受験生のことをまず考えてあげるのが一番必要」と番組内で異を唱えたのに対し、橋下市長はツイッターで「(小倉氏が)実態を知らずに受験生のことを考えるべきと主張するのは間違い」と反論したことからだ。
この日大阪のスタジオから出演した橋下市長は、午前8時25分から異例の長さとも言える45分間にわたって質問に答えた。
「入試中止は生徒のためになるのか?」。
小倉氏からのこの質問について市長は「絶対、プラスになります」と言明し、「私と小倉さんとの決定的な違いですが、私は入試について『体育系学科が新入生を受け入れる状況にあるのか』という1点を見ていたんです。私に(外部調査チームから)上がってくる情報を見た結果、市教委の最高責任者も『さすがにこれは受け入れられない』として中止を決めたんです」と述べた。
市長によると、集まった情報の内容は①すでに体罰指導が発覚したバスケやバレー部だけでなく、他のクラブにも同じような体罰事案があり、常態化している②しかし、体罰指導については現在も在校生(体育科)や保護者の多くが『是』としている③運動部指導に関する校長や教頭のガバナンス(統治)は全く効いておらず、体罰事案を『隠蔽』までしていた⑤体罰指導を見ていながら教員の間に『これは間違っている』という認識がなかった――などだ。
市長は「新しい桜宮に向かっていくんだというのを受験生にしっかり伝え、それでも学校立て直しのために頑張っていこうという生徒を迎え入れるためにも体育科という看板は1回中止にしなければいけません」と語った。