バスケットボール部の主将が体罰で自殺した大阪市立桜宮高校の改革を支援する目的で、「桜宮高校から体罰をなくし、文武に花咲く桜宮高校を再構築する会(通称:桜宮応援団)」が2013年1月27日に結成された。
この問題に対する橋下徹大阪市長の対応に異議を唱えるもので、桜宮高校を当事者の手で改革していこうという目的らしい。
「橋下市長の教育現場への介入は違法」
「桜宮応援団」の発起人の1人である伊賀興一弁護士に話を聞いたところ、結成のきっかけは、橋下市長が13年1月17日、「体育系2科の入試を中止しなければ、関連予算を支出しない」と表明したことだった。これは市長による違法な教育現場への介入だとして、弁護士有志で大阪市教育委員会に申し入れを行った。
これに対し市教委は橋下市長の言うことはとりあえず置いて、桜宮高校から体罰をなくし、文武両道の学校に改革していくと答えたため、一緒になって改革に取り組もうということで団体を結成したとのことだ。
27日に行われた集会では、50人程度の規模の会場に、保護者や卒業生ら約170人もの人が集まった。
主な意見として、(1)体罰のない桜宮高校をみんなで作ろうという呼びかけ(2)当事者である教職員、生徒、保護者が意見できる場所が今までなかったという批判(3)授業内容のカリキュラムを受験生や保護者に向けて明らかにするよう学校に要請しようという提案(4)橋下市長が生徒や保護者も体罰の共犯者、加害者であるような言葉の暴力をふるっており、桜宮高校の生徒が不当なバッシングを受けたり、自転車を壊されたりという二次被害が出ている。市教委は生徒の心のケアを行うべきという意見(5)橋下市長が提案する教職員総入れ替えは、桜宮高校改革の障害にしかならない。問題のあった教員もそうでない教員も参加する会議を行い、その中で教員が責任を取っていく形にしようという提案があったという。
今後の活動予定は、市教委や学校に要請すべき点をまとめ、申し入れをしていくと話していた。
産経「違法行為したり、教師に暴力ふるったりする生徒に体罰は有効」
橋下市長は13年1月25日、ツイッターで「教育は教育の専門家だけでは引っ張れない。政治の力も必要」「日本は戦前の教育の反省から、教育行政と政治を完全分離した。このことで教育行政が機能しなくなった。バランスを取り直す時期に来た」と投稿していた。桜宮応援団の意見と対立する立場を示した形だ。
桜宮応援団は橋下市長に反対しながらも「体罰は許さない」という立場だった。一方、「体罰容認」という形で市長と反対の意見を表明する向きもある。
13年1月27日付の産経新聞には、「一定条件下の体罰」は容認してもいいのでは、というコラムが掲載された。
記事には、橋下市長をはじめ評論家やジャーナリストらが「あらゆる体罰の禁止」を打ち出しているが、卑怯な行為をしたり、違法、不法行為をしたりする生徒や、教師に暴力をふるう生徒に対しては、体罰はむしろ有効ではないか、と書かれている。
ただし、桜宮高校の問題に対しては、まじめに一生懸命やっていた生徒であること、何十発も殴ってけがをさせていることから、体罰ではなく暴力だったと糾弾している。