審査期間中は就労禁止、公的支援もわずか
また、申請者の急増と、公的支援制度の問題もある。
法務省によると、2011年の難民認定申請者数は1867人(前年比665人増)に急増し、ここ10年で最多となった。
入管はこの急増に対応するだけの人員を用意できず、現在、認定審査が約3~4年と長引いている。
その上、審査の間には一時的に、法的に働けず、公的支援も受けられない状態が生じる。審査を開始する前に2~3か月の「待機期間」があり、この期間は就労が禁止されている。現金で「保護費」が支給されるのは審査がはじまって最初の約12か月のみ。行政手続き期間中は就労許可されるものの、難民と認定されず裁判になると、再び禁止される。なお、日本の難民認定率は11年で1%以下と非常に低い。最終的に認定されなかった場合、国に帰るか、再申請も制度上は可能だ。手続き期間中に、情勢が変わって安全に帰れるようになる人や、日本で結婚するなど別のルートで在留資格を得る人も一部にはいる。
これまでは、難民支援協会など民間のNPOなどが、困難な状況にある申請者らを受け止めるセーフティネットの役割を果たしてきた。しかし、それも急増には対応できず、「限界がある」(石川さん)。
協会が提供している仮住居「シェルター」は、現在18人待ちの状態。住居のない難民申請者らの中には、日中を協会の事務所で食事をもらうなどして過ごし、事務所の閉まる夜になると、外へ寝にいく生活を送っている人もいるという。
難民制度に関しては、さまざまな問題を総合的にみる必要があるが、今もっとも切実なものは、「どうやって生きていくか」と石川さんは話す。より適切な支援のあり方をさぐり、現場の声を政策担当者に届けていきたい考えだ。