東京都の定例会見は「ネタの宝庫だぜ」 猪瀬知事がツイッターで異例の「記者呼び込み」

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   ツイッターの積極活用で知られる東京都の猪瀬直樹知事が、記者会見への出席を呼びかける異例のツイートをした。呼びかけた対象は、テレビのコメンテーターやベテラン新聞記者、情報番組のディレクターなど。曰く「ネタの宝庫」なのだという。実際にどんなやり取りがあったのか。

   猪瀬知事は2013年1月25日未明、ツイッターで

「あえて言いますがテレビのコメンテイター、記者クラブの若者でないベテランの新聞記者、金曜日15時の定例記者会見に来てください。週刊誌も全然来ていないですね。テレビもストレートニュースの担当でなく情報番組のディレクター、ネタの宝庫です。2020東京五輪もあるのでスポーツ新聞もね」

と呼びかけた。

クラブ加盟社以外でも申し込めば出席できる

写真集「THE FUTURE IN TOKYO」を手に東京の魅力を力説する猪瀬直樹知事。説明は約15分に及んだ
写真集「THE FUTURE IN TOKYO」を手に東京の魅力を力説する猪瀬直樹知事。説明は約15分に及んだ

   猪瀬知事がツイートしているように、会見は原則として毎週金曜日15時から約1時間にわたって行われる。記者クラブ加盟社以外でも、事前に申し込めば出席できる。フリーの記者などが記者会見への出席を求めることは珍しくないが、会見の登壇者側から出席を呼びかけるのは異例だ。猪瀬知事は過去の会見でも、都政担当記者が数年で異動することに不満をもらしており、ツイートはその延長だとも言える。

   1月25日午後の会見で取り上げられた話題は、「スポーツ祭東京2013」と銘打った冬季国体の開催、新電力会社(PPS)の東京武道館への一部導入、都営地下鉄と東京メトロの経営統合問題、尖閣諸島購入目的で集めた募金から設けられる基金、都議会選、区長候補への応援、夕張市長の知事訪問など。水力発電所で発電した電力の売買契約の解約をめぐって、東京電力から約52億円の解約料を要求されている問題では、

「ぼったくりバーみたいな請求書をもってきた」
「広瀬社長が(1月18日に都庁に)来た時に、なんで自分に直接言わないのか」

と東電に対する怒りをぶちまけた。

   このように、話題の幅広さという意味では、「ネタの宝庫」という言い方も間違いではなさそうだ。

写真集の説明に会見の4分の1費やす

   だが、この日の会見で最も知事がアピールしたかったのは、東京の風景や産業、文化や食べ物を盛り込んだ写真集「THE FUTURE IN TOKYO」のようだ。約130ページに及ぶ写真集はデザイナーの木村裕治氏がデザインを担当。その内容を知事は、

「非常に中身の濃い、味わい深いプレゼンテーション用に非常に良くできている」
「ソフィスティケイト(洗練)された世界を、かなり深掘りしてやっている」

と絶賛した。当然、2020年夏季五輪の招致活動に利用するのが目的で、

「(対外的に東京について)色々説明したいが、説明する材料が思いつかない。でも、これを見れば1ページごとに、色々なことをプレゼンテーションできる。IOCの委員だけでなく、各大使館にも、こういう説明をきちんとしておく必要がある。自分自身の文化の再発見になると思っている」

と説明した。質疑応答を含めると、会見時間の4分の1にあたる約15分を、この写真集の説明に費やした。ツイートで「2020東京五輪もあるのでスポーツ新聞もね」とわざわざ書いていた理由は、この写真集にあるようだ。

尖閣基金よりも「オリンピックが先なんだよ」

   猪瀬知事の中で五輪の優先順位は相当高いようで、尖閣基金の運用方針を固めるスケジュール感に関する質問には、

「オリンピックが先なんだよ。3月に(IOCの)招致団が来る。この時、安倍さんにも出てもらわなきゃいけない。安倍政権も、とりあえず成長戦略を作っているところでしょ?その後になるんじゃないですか」

と反応していた。会見の終盤には、脇にいた職員からメモを渡され、

「だって(そんなこと)言われたってしょうがないじゃん」

と困惑しながらも、IOC委員の泊まるホテルについての「公式見解」を読み上げる一幕も。記者からは笑いも起こっていた。

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