朝日がヤフーに「有料記事」配信 記事の「売り方」試行錯誤?

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   新聞社のウェブサイトが次々と無料で読める記事の割合を減少させるなか、ポータルサイト最大手のヤフーが2013年1月23日、有料記事の配信サービスを始めた。第1弾として、朝日新聞の記事を月300本程度選んで配信する。ただし、配信される内容は自社サイト「朝日新聞デジタル」と重複しており、サイトごとの住み分けも問われることになりそうだ。

朝日はヤフー配信には慎重だった

   ヤフー・ニュースは月に50億近いページビューを誇り、全国紙や地方紙など100社以上が記事を配信。ポータルサイトとしてはダントツの集客力を誇る。朝日新聞は、長い間ポータルサイトへの配信に慎重だったが、12年10月に「一部解禁」したばかり。

   ヤフーの発表では、有料サービスは新聞社などにとって

「これまで以上に多くの読者に、より充実したコンテンツを届けることが可能となります」

といったメリットがあると説明する一方、利用者にとっては「幅広い記事にアクセスすることができ、より多角的な視点から理解を深めることができます」と選択の幅が広がることを強調している。

   有料サービス「朝日新聞デジタルSELECT on Yahoo!ニュース」は、ヤフー・ニュース内で配信され、記事の冒頭部分は無料で読める。全文を読むためには購読手続きが必要で、料金は月額380円で、プレミアム会員は315円。いずれも、登録した最初の月は無料だ。

背景解説する記事や現地ルポを配信

   朝日新聞は、いわゆる「発生もの」と呼ばれる速報的に事実関係を報じる記事を中心に無料記事も配信する。毎日、読売、産経といった大手新聞社がヤフーに配信している記事も引き続き無料で読める。

   1月24日に配信された朝日新聞の有料記事は20本。いずれも同日の朝刊向けに出稿されたもので、「天声人語」や社説に加えて、

「(アベノミクスって、なに?:12)公共事業編 どんな事をするの」
「(世界発2013)北朝鮮、中国に出稼ぎ組 隊列出勤し作業黙々」
「原発ゴミ最終処分、実現へ 世界初、フィンランドの施設を見る」

といった背景を解説する記事や現地ルポを中心に選んでいるようだ。また、18時時点で無料記事は32本配信されている。

   朝日新聞がヤフーに配信している記事は、すべて同社有料サイト「朝日新聞デジタル」にも掲載されている。同サイトの購読料は、月額で紙媒体プラス1000円、ウェブサイト単独の場合で3800円。ヤフーの有料記事に比べると高めの価格設定だが、紙媒体のほぼ全記事が収録されている上、12年1月のリニューアルでは紙面ビューアが設置されるなど(2月中旬からはタブレット端末やスマートフォンにも対応)、サイトの充実度も大きく異なる。

   ウェブ上の記事の有料化は今後も加速するとみられるが、自社サイトに加えてヤフーなどに何をどう配信するかなど、ニュースメディアの「売り方」をめぐる試行錯誤はまだまだ続きそうだ。

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