大阪市立桜宮高の男子生徒が体罰で自殺し2013年度の体育系学科の入試が中止となった問題を巡り、マスコミ報道に連日怒り続ける橋下徹市長が今度は作家・曽野綾子氏にかみついた。
曽野氏が新聞コラムに、「(橋下市長には)人を変えられるという思い込み」があると書いたのに対し、市長は「ひねくれ者の曽野綾子氏」による「ひねくれコラム」とツイート。国の教育再生実行会議のメンバーである曽野氏に向け「思い込みがないものは教育から去れ」と迫っているのだ。
「自分の影響で人を変えられる」のか
曽野氏のコラムは、産経新聞に毎週水曜に連載している「透明な歳月の光」だ。2013年1月23日は「体罰と人間観」というタイトルで、体罰を振るった桜宮高校のバスケットボール部顧問と体育系学科の入試中止方針を打ち出した橋下市長について書いている。
「人は変えられるという思い込み」――こんな見出しがついた文章の中で、曽野氏はまず
「(顧問教諭は)かなりの年になっても、世の中のこと、人間というものが、よくわかっていない人である」
と断じる。
続いて、同校体育系学科の入試中止や体育系の全教諭異動について「絶対に譲れない」と固執する橋下氏に触れ、
「私が驚くのは、顧問といい市長といい、自分の影響で人を変えられるという信念に満ちていることだ」
と指摘する。
曽野氏は①人を改変する力は多分に偶然によるもの②人は同じ外的刺激を受けても予測されるのと同じ結果は生まない――と持論を展開し、
「この人間を信じている2人の男性の闘いは、当節珍しい見ものであるという気がしないでもない」などと記す。
「人間を知る人が、必ずしも人を信じている人にはならない」