新聞への軽減税率適用に65%が「肯定的」 日本新聞協会の調査はおかしくないか

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   日本新聞協会の調査によると、新聞などへの消費税に「軽減税率」を適用することに多くの国民が賛成しているという。ただ、調査の中身をよく見ると、対象になった人の半分以上は「無回答」「回答拒否」で、日本新聞協会の主張にはかなり無理がある。事実ネット上では「大嘘」といった表現も出ている。

   ちなみに、J-CASTニュースが行ったアンケート調査では、8割が適用に反対するというまるで正反対の結果になった。

実際に回答したのは1210人

J-CASTニュースが行った新聞への軽減税率適用の可否を問うアンケート結果(2013年1月16~23日)。反対が圧倒的多数を占めた
J-CASTニュースが行った新聞への軽減税率適用の可否を問うアンケート結果(2013年1月16~23日)。反対が圧倒的多数を占めた

   新聞協会は2013年1月15日、2012年11月に実施した軽減税率導入についての調査結果を発表した。これによると、回答した1210人中84.0%が軽減税率を「導入すべきだ」または「どちらかというと導入した方がいい」とし、さらにこの導入賛成派1016人中の75.3%が、新聞・書籍を軽減税率の「対象にするべきだ」「どちらかというと対象にした方がいい」と答えたという。

   新聞協会ではこの結果を元に、

「先に新聞協会が実施した調査では、8割を超える国民が軽減税率の導入を求め、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいます」

と述べ、これを新聞への軽減税率適用を求める論拠の1つに挙げている。

   各紙も翌16日、そろってこの調査結果を取り上げた。たとえば読売新聞では、「全国の成人男女1210人を対象に昨年11月に行った軽減税率に関する面接調査の結果」という説明付きで、その結果を詳細に掲載した。毎日新聞も「新聞に導入 65%肯定的」の見出しで、この数字を紹介している。

実際には7割近くの対象者が「無回答」

   しかしこれには、たちまち疑問の声が噴出した。上記の読売記事などでは触れられていないが、実はこの調査の「対象」となった総数は「4000人」で、1210人は質問に実際に回答した人数なのだ。

   調査を請け負った中央調査社によれば、今回の調査は別の複数の調査との「相乗り」形式で行われたもので、それぞれの質問に答えるかどうかは被調査者にゆだねられていた。その詳しい内訳は不明だが、半分以上の人は「無回答」「回答拒否」を選んでいたわけだ。

   また回答者中の約3分の2が「適用賛成」だったといっても、積極的に「対象にすべき」と答えたのは36.2%で、残りは「どちらかというと」という消極的な賛成に過ぎない。結局のところ質問を受けた4000人中、明確に支持を表明したのはせいぜい400人強しかいなかったということになる。

書籍・雑誌や電子媒体への適用にも反対多数

   新聞、書籍に対する軽減税率適用についてネットではどう考えているのか、J-CASTニュースはアンケート調査をした。2013年1月16~23日にかけ、新聞への軽減税率適用の是非を選択式で回答してもらったところ、3307票中82.3%が「適用するべきではない」を選び、「適用するべきだ」とした人は9%、「どちらかというと」を含めても11.4%に過ぎなかった。

   また新聞以外のメディアに対しても、適用を支持する声は小さい。新聞協会では書籍・雑誌・電子媒体などにも軽減税率を求めているが、J-CASTニュースが行った別のアンケート(2013年1月18~23日、総投票数1608票)では、「書籍・雑誌」「電子媒体」ともに適用賛成は2割弱に留まった。

   もちろん、ウェブ上のアンケートであるため、限界はあり、正確に世論を反映した数字とは言い切れない。ただ、国民の半分以上が賛成しているというのは、いささか無理があるのではないか。

   なお新聞への適用の可否も含め、軽減税率については与党内で協議が行われたが、現時点では8%時点での導入は見送られる見込みで、とりあえず新聞協会の要望が入れられる可能性は少ない。

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