消費増税や富裕層への課税強化が注目されるなか、2013年1月に導入された「復興特別所得税」(復興増税)をはじめとした「増税」が国民生活を苦しめはじめている。
健康保険や厚生年金保険などの保険料も引き上げられ、2014年には消費増税が待ち受ける。給与明細や家計簿を見て、思わずため息を漏らす人は少なくないはずだ。
1月から所得税額にプラス2.1%が加算
復興増税は、2013年1月からの所得税額に2.1%を加算した付加税として徴収される。たとえば、現行の所得税率が5%(課税対象が195万円以下)だったら、0.105%(5%×2.1%)が加算されて5.105%となり、負担が増す。
「所得」に課税されるので、給与だけではなく退職金にもかかるし、株式の配当や預貯金の利子にもかかる。株式の配当でいえば、これまでの10%の源泉税率(住民税3%を除く所得税分に加算)が10.147%になり、預貯金は20%の源泉税率(住民税5%を除く所得税分に加算)が20.315%に増える。この状態が2037年12月31日まで、25年間も続くのだ。
さらに、2014年6月からは住民税分が増税され、納税者一人あたり年1000円が徴収されることになっている。景気が回復して給与がアップすれば、2.1%の増税も気にならないかもしれないが、給与は上がらない、預金金利は年1%も付かないのだから、これでは大変だ。
13年1月から、給与所得控除の上限額が245万円になったことも「増税」につながる。これまでは年収1000万円超の人は「収入金額×5%+170万円」が控除できたが、年収1500万円超の給与所得者はすべて245万円で「頭打ち」となり、負担が増えることになった。
1月1日以降に支払われる勤務5年以下の役員退職金の課税ベースを2分の1にする措置も廃止。たとえば4年間勤務して3000万円の退職金を受け取る役員の場合、退職金の2分の1の控除がなくなったうえに、所得税の2.1%の付加税を課せられるので、これまでよりも700万円前後も多く納税することになる。