名古屋市の東山動植物園がコアラの餌代を支援して欲しい、とインターネットサイトで呼びかけたところ、2ヶ月間で100万円の目標なのに、開始から1週間で3倍以上の320万円が集まってしまった。
呼びかけが掲載されたのは、クラウドファンディング(資金調達)サイト「READYFOR?」で、2011年3月に開設以来200件ものプロジェクトが進行したというが、いったいどんなサイトなのか。
クラウドファンディングサイトに掲載される
東山動植物園は1983年に日本で初めてコアラを展示した動物園として知られるが、2013年1月16日に「コアラを守りたい!~東山動植物園コアラ応援プロジェクト~」を立ち上げサイトでコアラの餌の支援を呼びかけたところ、1月23日までに440人が支援の声を上げ323万円が集まった。
支援金の募集は3月17日までだから、最終的に支援金はどこまで膨らむかはわからない。
動植物園には現在7頭のコアラがいて、年間の餌代は5650万円かかる。市議会では、コアラの餌代が高すぎるとして度々問題視されてきた。高額な理由は、餌になるユーカリの葉の確保が困難なためで、沖縄県、静岡県など4か所で栽培し、無農薬、手作業での害虫駆除など手間をかけ収穫している。
東山動植物園が餌代の支援を求めたのは自身の施設の財政が厳しいこともあるが、世界中で頭数が減っていて、日本でも1987年に96頭いたコアラが11年末には48頭になってしまった。これはユーカリの確保が難しいのが大きな要因で、今回のコアラ支援プロジェクトを立ち上げることによって、コアラの危機的状況を広く知ってもらうことも狙っている。
動植物園の要請が掲載されたのがクラウドファンディングサイト「READYFOR?」。このサイトは個人が夢を叶えるために資金援助を求めたり、資金不足のNPOや自治体が寄付を募ったりするために11年3月に開設された。これまでに資金援助を求めるプロジェクトは200件がスタートし、1億2000万円が集まった。
支援プロジェクトの約7割が成功している
誰でも資金援助のプロジェクトを申請できるのが特徴だが、スタートさせるには審査があり、認められれば「READYFOR?」のスタッフと共にプロジェクトの組み立てや、サイトに掲載する内容などの打ち合わせに入る。例えば支援金を2ヶ月で100万円集めることにしてそれに達しなかったとすれば、プロジェクトは失敗となり、集まった支援金は支援した人達に全て戻される。失敗はスタートしたプロジェクト全体の30%ほどある。
プロジェクトは申請から始まるもののほか、「READYFOR?」側が交渉して始まるものもある。同サイト代表の米良はるかさんによれば、東山動植物園は後者なのだという。東山動植物園はこれまで、一般企業を対象に、展示している動物のスポンサーを募集するといった資金的な支援策を取って来た。これを一般の人にも広げようと提案し、今回のコアラの餌代支援プロジェクトが立ち上がったのだという。大きな反響が寄せられていることについて米良さんは、コアラという動物の人気の高さと、頑張っている動物園を応援したいという気持ちが重なった結果なのではないか、と説明している。そして、
「素晴らしい活動をしている方々に、きちんとお金を届ける活動をこれからも広げて行きたい」
と話している。