「身元不明では問題を検証できない」
極めて少ないながらも、ネット上にも内閣記者会側の姿勢を擁護する意見はある。「亡くなった人がどんな人でどんな思いで仕事をしていたのか、多くの人に知ってほしいと思う遺族もいるはずだと思うけど」などの声が寄せられている。
メディア研究の専門家にも公表すべきだという意見は多いようだ。1月23日付産経新聞朝刊では上智大の田島泰彦教授(メディア法)が、
「遺族への配慮は大事だが、(中略)身元が分からなければ、会社や政府の対応に問題がなかったかを検証することもできない。この先もずっと名前を出さないという対応には疑問が残る」
と主張している。
毎日新聞の同日付夕刊では報道・人権問題に詳しいとされる田中早苗弁護士が
「日本中が注目している事件であり、親族のほかにも心配している人はいる。政府はよほどの事情がない限り氏名を公表すべきだと思う」
と述べ
青山学院大の大石泰彦教授(メディア倫理法制)は
「遺族の意向は尊重すべき」
として生存者に限定した公表を求めた上で、
「現場で何が起きたのか。政府や会社は対策を講じていたのか。それは生存者にしか語れない」
と話している。
毎日新聞によると、人質事件に関してイギリスでは、イギリス人の死亡者の遺族が国を通じて実名でコメントを発表している。フィリピンでは、フィリピン人の生存者が報道機関の取材に写真付きで実名で答えているという。