注目のルーキー、大谷翔平投手が母校のCMに出演していた、として問題になっている。2013年1月中旬に表面化し、日本高校野球連盟(高野連)も規則違反とあって大慌て。一方で「大谷フィーバー」が現実のものとなりつつある。
CMが放映されたのは日本球団への入団を決める前だった
そのCMは花巻東高(岩手)のもので、内容は大谷のピッチングや授業風景。昨年11月に県内で放送されたという。日本学生野球憲章では、報道目的以外のメディア出演は高野連の承認を得る、としている。高野連は、学校から連絡は受けていない。経緯、内容などを調べる、と不快感を示しているという。
11月といえば、大谷が「大リーグに挑戦する」との意思を持っていたころ。日本のプロ野球には入らないから、と軽く考えていたのかもしれない。学校も地元のヒーローを扱ったという思いだったのだろう。
高野連がペナルティーを与えるのか、不問に付すのか。大谷はすでに全国区の野球選手だけに、処分内容は難しくなるだろう。不問にすれば「特別扱い」との批判が起きるだろうし、大リーグ志望から一転して日本ハムに入団したいきさつに疑惑を持つ関係者から非難が出る可能性もある。
とはいえ、恐らく「厳重注意」程度で収めるだろう。
日ハムの「人気者」、斎藤佑樹から新旧交代
期待のルーキーを突然襲ったCM問題だが、現状はそんなことなどそっちのけで、大谷人気は日増しに上昇している。合宿のある千葉・鎌ヶ谷の商店ではパスタの大盛りを「大谷盛り」と命名するなど、2年前にフィーバーした斎藤佑樹と主役交代の感がある。
プロ野球のキャンプは2月1日から。目玉は大谷、というのがメディアの一致した見方である。スポーツ紙の野球担当デスクの話によると、「プロ野球の話題は大谷中心。キャンプ日記などが連載されるだろう。スポーツ紙の一面は大谷が独占する可能性が高い」
最大の注目は、栗山英樹監督が発した「投手と打者の両方でやってほしい」との公約。この二刀流挑戦は、メディアにしてみれば、一粒で二度おいしい、ということになり、連日「翔サマ」の言動が伝えられることは間違いない。
20日には初めてフリー打撃を披露、非凡さの片鱗を見せた。これだけで評論家からは「松井秀喜の再来」とか「高橋由伸をほうふつさせる」などの絶賛が相次いでいる。
関西では阪神の藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭高)がトップの話題選手になる。「東の大谷、西の藤浪」の構図で、開幕前の話題は新人に頼ることになりそうだ。
日本ハムに対しては読みが甘かった点を指摘したい。それは大谷の背番号がダルビッシュ有の付けていた「11」であること。これはいつまでもダルビッシュがついて回り、比較されることになる。大谷だけの背番号を与えるべきだったと思う。
イチローの「51」、松井秀喜の「55」はいずれも自分の力で、栄光の数字とした。投手でいえば400勝投手の金田正一の「34」や江夏豊の「28」、江川卓の「30」などがある。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)