大学入試センター試験が行われた2013年1月19日、長崎市の試験会場から19歳の女性受験生が試験中に問題冊子を持って外出し、自身が通う予備校の関係者に渡していたことが分かった。
試験官は、問題用紙をどこにやったか問いただしたが、女性は答えず、長崎県警に通報する事態になった。女性は「試験失格」になったものの、関係した予備校などは不問となった。県警が事件ではないと判断したためだが、その判断に疑問も出ている。
誰に渡したのかに口をつぐんだままのため通報
大学入試センターは今回の「事件」について2013年1月20日に長崎と東京で記者会見を行った。それによれば、試験会場となった活水女子大で地歴・公民の2科目試験が午前9時半から行われた際、1人の女性受験者が午前10時頃になって教室からの退出を申し出た。体調が悪くなりトイレに行くものだと思った試験官は許可し、係員を同行させたが、女性が「もう大丈夫」と言ったため1人にした。女性が席を離れてから15分後、試験会場に戻ってこないことを心配し机を見たところ、地歴・公民の問題用紙がないことに気がついた。
席を離れてから約20分後、1階の自習室でその女性は見つかった。問題用紙を持っていなかったため、どうしたのか聞いたが、女性は答えず、事件の可能性があるとして長崎県警に通報した。社会を一科目だけ受ける受験生の試験開始は10時40分のため、もしも問題が流出すると不正が行われる心配があるからだ。
女性は県警と大学の調べに対し、問題用紙は大学の入り口にいる自身が通う予備校関係者に頼まれ手渡したと証言した。また、本人はセンター試験とは関係のない大学に合格していて、センター試験は試しに受けてみたのだという。予備校の関係者は問題用紙を受け取ったことを認めたが、
「早く入手して模範解答を作りたかったが、不正をしてまで持ち出すことは頼んでいない」
と語ったという。この問題用紙は19日夜に県警に返却されたという。