2012年の視聴率調査で民放上位3局に大きく離され、低空飛行が続くTBSテレビ。危機感を訴えようと、TBSHD(ホールデンィングス)の石原俊爾社長が全社員に送ったとされる手紙の内容がネット上の話題になっている。
「社員の皆さまへ」と題する手紙は、「(テレビは)人を社会化する礎」などとテレビマンの役割を説いた上で、低視聴率からの脱却を強く訴えている。
1981年以降、年間視聴率トップなし
石原社長が2012年11月に900人以上もの社員に送付した手紙をめぐっては、プレジデントオンラインが13年1月20日、「視聴率低迷『TBS社長』全社員宛の手紙」と題してネット上にアップした。
その記事などによると、石原社長は「今後ますます厳しさを増していくテレビ業界の中で、私たちTBSは最も厳しい立場に立たされているといっても過言ではない」と全社員に危機感の共有を訴えたという。
手紙から約2か月後に発表された2012年の視聴率調査結果では、ゴールデンタイム帯(19時~22時)、プライムタイム帯(19時~23時)、全日帯(6時~24時)ともTBSは5位で、日本テレビやテレビ朝日、フジテレビ、NHK総合の後塵を拝している。後ろにはテレビ東京しかいないブービー状態に陥り、2012年の「年間高世帯視聴率番組30」(ビデオリサーチ調べ)にTBSは一つの番組も入っていなかった。
振り返ればTBSは、1981年にゴールデンとプライム帯の2冠を制したのを最後にそれ以後は1冠すら獲得していないのだ。
視聴率の低迷が広告収入に直結するのはテレビ業界の常識で、民放各局の12年度4月~9月末までの広告収入累計値を見ると、東日本大震災が起きた前年度比では各局ともスポット広告は9%台の伸びを示すなか、TBSは7.1%増にとどまった。タイム広告(番組提供スポンサー広告)もテレビ朝日の前年度同期比8.4%増に対し、TBSは4.3%増だった。
また石原社長は手紙で、1980年代まで「民放の雄」と評され、業界のリーダーだったTBSの伝統を強調し、視聴率の取れるコンテンツ制作に向けて発破を掛ける。「(テレビは)人を社会化する礎」「人を文化的存在にする」と記し、「TBS社員として、誇りと自身を持って再生への道を歩み始めましょう」と結ばれているという。