男性ファッション誌、異例の販売急増 その理由は「女性の目が厳しいから」

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   出版不況が続く中、中年男性向けファッション誌がここ1、2年で売り上げを伸ばす異例の好調ぶりにあることが分かった。その背景には、ある事情があるというのだ。

   ひところの「ちょいワルおやじ」ほどではないが、ファッションには少しうるさくて…。最近の中年男性には、こんな傾向があるらしい。

「イケてるダンナ」になれと迫られ…

   全国出版協会の出版科学研究所によると、30~40代向けのメンズファッション誌の部数は、2010年ごろから増加に転じた。12年1~11月は、前年同期の266万部より38.3%も増えて、368万部にまで達した。

   調査に当たった研究員も、「雑誌全体が減少傾向にある中で、あるジャンルがこれだけ伸びているのは珍しい」と驚くほどだ。

   該当するのは、全部で5誌ある。うち、「ちょいワルおやじ」の命名者でもある「LEON」(主婦と生活社)の部数が最も多く、3割弱を占める。このほかは、「OCEANS」(インターナショナル・ラグジュアリー・メディア)、「UOMO」(集英社)、「MEN'S EX」(世界文化社)、「2nd」(枻出版社)だ。

   異例の売れ行きについて、研究員は、最近増えている「街コン」などで、婚活をする中年男性が多いことが原因とも考えられると分析する。「男は、外見でなく、中身で勝負」と言われたのは、今は昔。最近は、男性ファッションなどへの女性の目が厳しくなっているというのだ。

   厳しい目を向けられるのは、何も独身男性ばかりではない。

「ある女性誌の編集者に聞いたところ、最近の既婚女性は『ダンナさんのために雑誌を買う』と言うそうなんですよ。例えば、光文社の『VERY』という女性ファッション誌は、男性に読ませたい特集などを組んでいます。こうした雑誌では、イケているダンナのことを指して、『イケダン』と呼んでいます」

メンズファッションも売り上げ伸ばす

   出版科学研究所の研究員によると、30~40代の男性は、若いころから情報を得る手段として雑誌を読む習慣があり、おしゃれや見た目に気を使うようになってファッション誌に目を向けたともいう。このほか、「ターザン」(マガジンハウス)のように、トレーニング系雑誌の肉体改造企画なども人気だそうだ。

   とすると、中年向けメンズファッションも売り上げを伸ばしているのか。

   矢野経済研究所によると、紳士服・洋品の国内市場は、2011年は前年に比べて2%売り上げが増えた。また、日本百貨店協会の調べでは、デパートでの紳士服の売上高は、11年度は前年度比で1.7%の微増になっている。

   デパートの阪急は、11年10月に婦人服中心だった有楽町阪急を衣替えして、阪急メンズ東京をオープンさせた。「その3年前にできたメンズ大阪が好評でしたので、メンズの少ない銀座界隈にノウハウを生かせると考えたんですよ」(広報担当者)。オープン1年後には、年間売上目標の120億円をクリアし、現在も順調だという。

   すでに東京・新宿店にメンズ館のある伊勢丹は、紳士服・洋品の売り上げが12年4~9月は、前年同期比2%のアップで、最近はおおむね堅調に推移しているとしている。

   ただ、メンズファッションは、より安いネット通販やアウトレットモールなどの方が売り上げを伸ばしている。また、関心のある人は、雑誌ばかりでなく、ネットやテレビなどもチェックする割合を増やしているそうだ。

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