出会い系サイトの業者は会社組織の実態がない場合が多い
国民生活センターによれば、出会い系サイト被害の相談件数は年々減ってはいるものの、12年には相談件数が1万3056件あり、この中で収入や利益が得られるなどと誘導する「利益誘引型」の相談は3259件あった。
今回の裁判が本当に、出会い系サイト被害者を立ち上がらせ被害金を取戻すきっかけになるのだろうか。
女性側代理人の葛西聡弁護士に話を聞いてみると、なかなか簡単には訴訟に持ち込むことはできないという。今回の裁判の場合は、訴えた業者が会社登録し実在していたことと、訴訟対象の一人である前社長が出廷したなどの要因があったため、被害金の支払い交渉が進んだ。
しかし、一般的には出会い系サイトの業者は会社組織の実態がない場合が多い。そして、その業者がサクラを使っている、といった不正の証拠を集めることが簡単ではない、などの理由があるという。
「今回の場合も男性がサクラだったのかどうかが分かっていませんし、被害金を返すと言ってはいるものの、まだ口頭弁論は始まったばかりで、本当に返却されるか決まっていないんです」
と葛西弁護士は打ち明ける。第二回の口頭弁論は約一ヵ月後に開かれる。