代替機材への変更はコストアップ
現在、ANAは国内・国際線の全231機のうち17機のB787を、12の国内線と4つの国際線で運航。JALは全217機のうち7機で、欧米を中心に6つの国際線で運航している。
トラブルが続いてことで、両社ともすでに2013年1月16日からB787の運航は全路線で取りやめており、同日はANAで国内線32便、国際線7便が欠航。JALはシンガポール便の一部をB777に代替運航したものの、モスクワ便やサンディエゴ便など国際線8便を欠航した。
17日は、ANAが国内線35便、国際線6便で欠航。JALは国際線4便が欠航、4便を機材変更で対応。18日は、ANAで国内線24便、国際線6便が欠航。JALは3便を欠航、9便をB767やB777に機材変更。また19日から25日までに8便を欠航、70便の機材変更を決めた。
両社はB787の運航停止で欠航や機材変更を余儀なくされるが、その遣り繰りは簡単ではない。たとえば、JALのボストン便などは航続距離が短いB767では運航できないため、航続距離の長いB777を投入することになるが、B777は大型機なので運航コストが余計にかかる。
そのうえ、大型機なのでB787より多くの客室乗務員(CA)が必要になり、その人員が確保できなければ、結局は欠航に追い込まれる可能性もある。徹底した経営合理化による人員削減が「裏目」が出てしまったわけだ。
もちろん、それらは収益にハネ返ることになる。ANA、JALともに短期的には代替機材への変更に伴うコストアップと、欠航に伴う下振れリスクがある。さらに中長期的には、B787の運行再開やボーイング社からの納入が遅れるほど、航路計画の見直しなどに影響を及ぼすだろう。
JALは2013年2月に成田‐ヘルシンキ便をB787で就航する予定だったが、「就航に変更はありません。ただし、787が使えない場合は代替機を飛ばすことになります」と話している。 一方、ANAも3月から国内線の羽田‐秋田間でB787を就航する予定だが、同社は「現在のところ、未定です」という。