米国では「シボレー・ボルト」で発火のおそれ
こうしたことから、自動車業界では導入に対応が分かれれていた。
09年夏に発売された三菱自動車の電気自動車(EV)「i-MiEv」(アイミーブ)や、11年春に発売されたホンダのシビックハイブリッド(3代目)にはGSユアサ製のリチウムイオン電池を搭載した。日産も、10年に発売したEV「リーフ」に、NECと共同開発したリチウムイオン電池を採用している。
ただ、ハイブリッド(HV)車の分野で先行してきたトヨタ自動車は慎重だった。リチウムイオン電池の開発は自体は、かなり早い時期から行っており、02年発売のガソリンエンジン車、ヴィッツ「インテリジェントパッケージ」には、エンジン停止時にエアコンを動かすためのバッテリーとしてリチウムイオン電池が搭載されていた。だが、量販ハイブリッド車に搭載されたのは10年近く後の11年5月に発売された「プリウスα」。かなり「後発組」だと言える。コスト面や安全面から、HV車にはリチウムイオン電池を避けてニッケル水素電池を長く採用してきたとみられている。
米国でもリスクが指摘されている。12年1月には、米ゼネラル・モーターズ(GM)のプラグインHV車「シボレー・ボルト」に搭載したリチウムイオン電池(韓国LG)に発火のおそれがあるとして、自主改修を発表している。
なお、富士経済の12年の予測によると、車載用バッテリーの生産が伸びるとみられていることから、リチウムイオン電池の市場は16年には10年比2.7倍の2兆4028億円に大きく成長すると見込まれていた。