スマートフォン(スマホ)とタブレット型端末で市場をリードしてきた米アップルが、ここにきて息切れしてきたとの観測が流れている。
報道によると、2012年9月に発売された「アイフォーン(iPhone)5」の販売が伸び悩んでいるという。一方「iPad」では、新たに小型サイズを出すなどラインアップの充実を図っているが、ライバルの米グーグルや米アマゾンが激しく追い上げており、国内市場で首位を奪われたとの調査結果も出た。
高額なiPhone、「廉価版」の開発が必要
「iPhone 5の世界販売が計画を下回っている」と報じたのは、2013年1月14日付の日本経済新聞朝刊だ。このため、iPhone用パネルを供給している国内の液晶パネルメーカー2社が、2013年1~3月の生産量を合計で当初計画の半分程度に減らすと続けた。発売から3日間の販売台数が世界で500万台を超え、衰えない人気を誇ったはずのiPhone 5だが、報道が正しければ売れ行きが芳しくないことになる。
米ウォールストリートジャーナル紙電子版では日経を追う形で1月14日、液晶パネル以外の部品業者にも発注量削減を通達したとして、「この動きは、新型iPhoneの販売動向が当初予測したよりも力強さがないことを意味しており、需要に陰りが出ているのかもしれない」と伝えた。
米ニューヨークタイムズ紙電子版も14日付の記事で、「iPhone 5のパネル減産」を取り上げた。米国市場ではトップを守るアップルも、通信会社との契約時に値引きが受けられない別の地域では、iPhoneの高額な端末代が「足かせ」となり、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」搭載機種との競争で厳しい局面に立たされていると指摘。今日では世界的にスマホの普及が進んで所得が比較的低い層にも利用者が増えてきたが、これらの購買層にとって価格が高いiPhoneは手が出にくく、より安価な「アンドロイドスマホ」に流れがちというわけだ。
米調査会社IDCも、ニューヨークタイムズと同様の分析をする。2012年12月4日に発表した世界のスマホ市場予測では、iPhoneが「今後も各国市場で堅調に伸びていく」とした。だが一方で価格競争において「『高額過ぎる』と受け取る利用者もいる」との見方を示し、成長を持続するうえでは廉価版モデルの開発が必要になるだろうと結論付けた。
「廉価版iPhone」はこれまでも、複数のアナリストが「2013年夏にも発売」と予測しているが、アップルからの発表は一切出ていない。