簡単には資本再提携に踏み切れない事情がある
いすゞにとってピックアップは東南アジアの主力事業、稼ぎ頭とも言え、今後の成長も期待できる分野だ。ただ、東南アジアではトヨタ自動車や日産自動車といった日本勢のほか、中国勢など新興勢力も無視できない存在となっており、今後は競争が激化する見込み。ピックアップの「本家」であるGMと共同開発することで、コスト削減しノウハウを共有することは大きなメリットがある。生産や販売面での提携協議が進めば、コスト削減のメリットはより拡大する。
ただ、資本提携まで進むかどうかをめぐってはGMといすゞに温度差がある。
復活を果たしたGMは、2012年の世界新車販売台数でもトヨタと世界一を競り合ったまぎれもないトップメーカー。成長を持続するため、いすゞを取り込みたい意欲は強い。
一方のいすゞは現状、トヨタから5.9%の出資を受け入れており、トヨタ傘下の日野自動車との提携強化を目指す話も消えたわけではない。トヨタ内には「いすゞへの出資は前社長時代の話」と、いすゞに冷ややかな視線を向ける向きもあるが、かといって資本提携解消までしないのは、「GMへの牽制」などさまざまな思惑があると見られる。
こうした中、いすゞとしてはトヨタへの仁義もあり、簡単にはGMと資本再提携に踏み切れない事情があり、「業務提携でとどまり、いいとこどりするのが居心地がよい」と判断しているようだ。