いすゞ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)は2013年1月10日、「ピックアップトラック」と呼ばれるタイプのクルマを共同開発する、と発表した。両社は2006年、GMの経営が傾いたことから、35年間にわたった資本提携を解消したが、コスト削減などを狙って再び関係強化に動く。ただ、それぞれの思惑は微妙に異なり、「再度の資本提携」までの道のりは遠い、との見方が多い。
共同開発でコスト削減めざす
ピックアップトラックは後部に荷台を持ち、乗用車とトラックの機能を一つにしたようなクルマ。道が狭い日本ではほとんど普及していないが、北米や南米、東南アジアやアフリカなどで人気がある。乗車席(キャビン)部分は5人程度収容できるタイプもあり、自営業者や農家のほか、一般家庭で普通の乗用車のような使われ方をすることも多い。
GMは米国などでピックアップのシェアが高く、世界最大手。ただ、今後、世界的に環境規制が強化されるなか、東南アジアなどの新興国で需要を取り込むには、ピックアップでも実績を持ついすゞの技術を活用することが有意義と判断したようだ。共同開発でコスト削減できることも大きい。
GMは2009年に経営破綻したものの、大胆なリストラに踏み切り、米政府の支援もあって再建が進んだ。得意分野のピックアップをテコに世界でさらなる成長を図るために、かつて傘下に置いた日本の有力メーカー、いすゞともう一度タッグを組みたいと考え、再度の資本提携も視野に入れている模様だ。