「待機児童問題」自治体で明暗 横浜市「ゼロ間近」でも大阪市は「大幅増」

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「定員割れ」起こした保育所も「有効活用」

   大阪市の橋下徹市長は、2011年12月の就任以来「待機児童ゼロ」を掲げている。市保育企画課は、市独自の試みのひとつとして「個人実施型の保育ママ事業」を取り上げた。市の研修を受けて認定された「保育従事者(保育ママ)」が自分の居宅などで、保育所に入れない0~3歳未満を5~10人程度集めて保育を行うものだ。また、東京都のように市が無認可保育所を助成する「認証保育所」制度も検討していると明かした。

   一方、問題の解消に向けて大きな成果を上げている自治体もある。横浜市だ。市のウェブサイトを見ると、相当きめ細かい対策を講じているのが分かる。

   例えば保育所整備を特に進めたい地域を「緊急整備地域」に指定して、補助額を1.5倍に拡充。認可外の保育所を市が認定、助成する「横浜保育室」の制度では、利用者が支払う保育料を軽減するため2012年度に月額の補助を最大4万円から5万円にアップした。

   0~3歳児は保育所のニーズが高い半面、4、5歳児は「定員割れ」を起こしているところもあるという。駅から離れてアクセス面でやや不便な保育所でも、同様の問題がみられる。これらの施設を「有効活用」するために、駅の近くに子どもの「送迎保育ステーション」を設置し、預かった子どもをバスで「定員割れ」している保育所に送る仕組みも整えた。

   市側の手厚い支援、既存の施設やサービスを巧みに組み合わせることで、待機児童数は2010年の1552人から2012年には179人にまで激減した。市は2013年4月に待機児童解消を掲げており、目標達成が視野に入ってきた。

   大阪市では、横浜市の事例を参考にしているそうだ。市の財政でどこまで負担が可能かをにらみながら、待機児童ゼロを実現したいと市保育企画課の担当者は話す。

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