「鳩山さん、菅さんにはもう少し深く悩んでほしかった」
第2章の「鳩山さん、菅さんが掲げる脱原発」の節では、脱原発デモとの絡みで2人を束にして冷ややかに批評した。鳩山氏は2012年7月、「思いはみなさんと同じです」と大飯原発の再稼動を批判して首相官邸前のデモに参加し、菅氏はデモ主催者を官邸に招いて野田首相と面会させていた。
しかし、鳩山氏は2009年の総理就任直後、温室効果ガスを2020年までに25%削減(1990年実績比)することを国連で表明し、その裏づけとして菅内閣では2030年までに原発依存度を53%(09年実績29%)まで高めるエネルギー基本計画を閣議決定している。
「つまり、エコロジーのための原発推進を鳩菅両内閣は容認していたわけだ」と指摘し、ダメを押すように
「国民の間に生活感に根ざした原子力不信が広がったのは事実としても、菅さんのように選挙に向けた政治運動論として脱原発を掲げることには賛成できない」と強調した。
さらに
「鳩山さん、菅さんには国際社会に温室効果ガス25%削減を約束した内閣の総理、副総理として、脱原発を主張する前にもう少し深く悩んでほしかった。一国の宰相の発言がそんな軽いものであっていいわけがない」と両人の政治家としての基本姿勢を指弾した。
仙谷氏はまた、第6章の「大飯原発再稼動の真相」では、当初は再稼動に絶対反対の立場を取りながら最終的に容認した大阪市の橋下徹市長にも言及している。
「橋下さんという政治家はどこかのタイミングでスパッと割り切って現実的な決断をするタイプだと見ていた。意地悪な言い方をすれば、今このポジションを取ったほうが世の中で受けるという判断で動くタイプだ」
とした上で、2011年5月の「仙谷さん、関西はあまり震災のことに現実味がないんですよ。気分としては震災前に戻りました」といった橋下氏の言葉を紹介し、
「こういう人に原発やエネルギー政策に対する深い理解が本当にあるのだろうか」と評している。