給料を上げた会社は、法人税を減税します――。政府の緊急経済対策に、こんな「アベノミクス政策」が導入されると報じられ、ネット上で賞賛の声が相次いでいる。
アベノミクスでは、物価が上がったとしても、それに応じて給料も上がるのかが最大の焦点になっていた。そうでないと、消費が伸びず、経済再生は成らないからだ。
竹中平蔵氏は「半年、1年では上がらない」とも
そこに出てきたのが、今回の減税政策報道だ。
新聞各紙によると、自民党の安倍晋三内閣が2013年1月11日に決める緊急経済対策に、この税制改正が盛り込まれる。企業が給料や雇用を増やすと、その人件費増加分の10%を法人税から差し引くというものだ。新税制は4月に創設され、2~3年の期限付き措置として導入される見込みだ。
以前の減税政策としては、民主党の菅直人内閣が11年度から導入した雇用促進税制がある。この制度では、企業が雇用者数を10%以上増やすと、1人当たり20万円を法人税から差し引く。しかし、これだと、給料が増えることに直接つながらず、今回は、それを超えるものとして考え出されたらしい。
この新税制が報じられると、ネット上では、「神政策」などと賞賛の声も沸き起こった。早くも、「バイトの時給も上がるんだろ?」といった期待の声も上がっていた。
とはいえ、政府の中からも、過剰な期待を戒める向きはある。
産業競争力会議メンバーの竹中平蔵慶応大教授は1月10日、TBS系「朝ズバッ!」に出演して、給料アップについては、「経済全体がよくなってこないとできない」と指摘した。竹中氏はこう言う。
「国民もある程度時間がかかることは覚悟しないといけないと思いますよ。半年、1年で給料が上がるほど簡単な問題じゃなくて、世界から日本がすごく今押されているわけですから、うまくいっても3年とかそのぐらい見とかないといけないでしょうね」