遺族「学校・市教委の対応は後手後手」
危機管理能力に欠如した市教委、学校側のありようは、自殺した生徒の両親への対応や記者会見の場などにも現れている。
市教委と学校側は自殺を公表した8日の会見などで、自殺前日の12年12月22日に生徒が顧問から受けた体罰について「両頬をはさむようにして平手で数回たたいた」と話していた。顧問の証言をもとにした一方的なものだが、実は市教委と学校側はすでに会見の時点では、生徒が自殺前日に「きょうもかなり殴られた。30~40発たたかれた」と母親に話していたことを遺族から聞いて知っているのだ。
双方の主張の隔たりを知りながら、なぜ市教委は顧問の証言のみを公表したのか。新聞報道によると、遺族感情を逆なでする行為はこれにとどまらず、同校の校長やバスケ部顧問らは生徒の自殺後約1週間、通夜や葬儀でも両親に謝罪していなかった。市教委は8日の会見などで「顧問は通夜の晩に謝罪した」と発表していたが、実際はバスケ部員らへのアンケートの結果、顧問による日常的な体罰を認めざるを得ないと判断した後の12月30日だったという。
また11年9月に市にバスケ部顧問の体罰情報が寄せられていたことついても、これまで遺族側に一切の説明はないという。「学校や教育委員会の対応は後手後手の印象しかない。不信感を募らせている」。自殺した生徒の父親はマスコミの取材に対しそう答えている。
教育委員会主導の教育行政に批判的な立場を取る大阪市の橋下徹市長は1月10日、「学校や市教委は意識が甘すぎる」「緊急事態の対応は市教委に任せられない」とした上で、今回の体罰問題に関する調査チームを作る方針を表明した。市長直轄で100人態勢で全容解明に当たるという。
「顧問が自殺前日に30~40発も殴っていたことが事実なら、暴行や傷害罪に当たる許された行為」と語り、ずさんな調査結果によって体罰を止められなかった公益通報制度の見直しについても言及している。