県警「証拠の押収、遅くはない」
一方、記事によると、略図のコピーなどを見せられた富山県警はCD-Rの任意提出を文春側に求めたが、匿名ではあるとはいえ「情報源の秘匿」を理由に要請を拒否。犯人の目星すらつかない状況の中、県警はCD-Rという重要証拠の存在を認知してから2年2か月後の12年8月に令状を取って差し押さえに踏み切った。CD-Rを解析する過程で「カノタケシ」の名前が文書作成者としてローマ字で残されていたことが判明し、現職警部補の加野容疑者が捜査線上に急浮上してきたという。
犯行声明で「手記」の買い取りを文春に持ちかけた当時、加野容疑者はパチンコや風俗遊びなどで消費者金融に200万円以上の借金を抱えていた。
しかし、夫婦2人が殺害された重大事件の犯人に結びつく重要な証拠入手になぜ、富山県警は2年2か月もの歳月を費やしたのか。この問題に関しては、TBSなども1月9日のニュースなどで「証拠押収に2年超」などと捜査への疑問を投げかけている。
2007年の長崎市長射殺事件の際は、犯人がテレビ朝日に送っていた犯行予告文を巡って、長崎県警は任意提出を拒まれた後、間をおかずに裁判所の令状によって書面を差し押さえている。
CD-Rの押収まで2年以上も要したことについて、富山県警刑事企画課は「証拠の押収が遅れたわけではない」とした上で、J-CASTニュースにこう回答した。
「文春さんは『CD-Rは提出できない』という完全拒否の姿勢ではなかったため、報道機関であることも考慮し、県警としては検討状況を見守っていました。可能であれば(令状による差し押さえではなく)協力を得た上で資料入手するほうが望ましいと考えていました」
週刊文春側の回答は「記事に書いてあることがすべてでコメントはできない」だった。
ちなみに富山県警は10年6月、犯行声明のコピーによって週刊ポストと週刊現代にもCD-Rが郵送された可能性を認知していながら、「CD-Rの入手は文春さんに絞っていた」ことから、「ポストと現代さんにCD-Rが送られたかどうかは現在も把握していない」と話した。