衆院選で惨敗し、野党に転落した民主党。巻き返しを図るには日本維新の会やみんなの党との共闘が欠かせないが、両党からは冷たく突き放された。
新代表に就任した海江田万里氏にも、暗雲が垂れこめる。「和牛預託商法」で数多くの出資者を集めながら経営破たんした「安愚楽牧場」について、かつて「宣伝役」を務めていたことに被害者側から責任を追及されているのだ。
維新幹事長「絶対無理」と言い切る
民主党幹部は年明け以降、相次いで野党共闘を呼び掛けている。海江田代表は2013年1月7日に開かれた党役員会で、「他の野党との協力も必須」と述べた。細野豪志幹事長は日本維新の会の名前を挙げて、「協力できなければ自公を利するのは明らか」と強調した。輿石東参院議員会長も、夏の参院選に向けて野党間の候補者調整に意欲を示している。
維新の橋下徹代表代行も、1月4日の記者会見で「みんなの党だけでなく、民主党の一部の人たちともまとまるべきだ」と主張。早くも両党で連携の動きか、と見えるが実際は厳しそうだ。維新の松井一郎幹事長は、交渉のテーブルにはつくものの協力には否定的な見解を示したからだ。党綱領の「維新八策」で公務員改革と教育改革を掲げるが、民主は公務員労組の支持を受けているうえ、参院を仕切る輿石氏は日本教職員組合出身。改革に積極的にはならないと見て、松井幹事長は「(協力は)絶対無理」と言い切ったという。
1月9日放送の情報番組「ひるおび!」(TBS系)に出演したみんなの党・江田憲司幹事長は、橋下代表代行が「民主党の一部の人たち」と発言した点に注目。「労組依存じゃない人と一緒にやりたいとの気持ちではないか」と推測し、名指しこそしなかったが、民主の「参院のドン」に象徴されるような労組依存体質が、政権担当時に行政改革や天下り廃止を徹底できなかった「元凶」と指摘した。
では、みんなの党はどうか。渡辺喜美代表は、民主と「一致できる政策はある。それを前提に(参院選の)1人区で共闘を考えたい」と発言していたと番組で紹介された。江田幹事長は渡辺代表の真意について、「今の段階では民主含め、えり好みせず交渉する」と話す一方、消費増税を巡るいわゆる「民自公」の3党合意を民主の新執行部がどう進めていくかにかかっているとした。みんなの党は衆院選で消費増税凍結を掲げており、民主が歩み寄らない限りは手を結ばない考えだ。
別のみんなの党幹部は読売新聞の取材に、「民主とは戦う」「民主と連携した瞬間に民意が離れる」と、はっきりと「別路線」を打ち出していた。