「遠隔操作」の犯人は、20~30代? 警察に強い恨みがある可能性

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   遠隔操作ウイルス事件の犯人とみられる人物が、ネット上を離れて、実際に動いた可能性が出てきた。神奈川県藤沢市の江の島で防犯カメラに不審な男が映っていたと報じられたのだ。その人物像とは――。

   犯人とみられる人物から報道機関などに2013年1月5日に送られたメールでは、パズルを解くと、ネコにはめたピンク色の首輪に記憶媒体を付けたとあった。

ネコに首輪は、自己顕示欲の表れ?

   そして、この日のうちに江の島でそのネコは見つかり、報道によると、警視庁などの合同捜査本部は、首輪にテープで固定されたマイクロSDカードを見つけた。カードを解析すると、「自分は以前に事件に巻き込まれたせいで、無実にもかかわらず人生の大幅な軌道修正をさせられた」と警察への恨みの告白ともみられるメッセージが出てきた。

   住民の目撃情報から、首輪は前日4日の夕方ごろにはめられた可能性が出てきた。江の島には、35か所も防犯カメラが設置されており、警察が解析した結果、似たようなネコに近づく20~30代ぐらいの不審な男が映っていたという。

   メールが送り続けられている落合洋司弁護士は、犯人像について取材にこう明かした。

「年齢的には、10代とかの若者ではないだろうと思っていました。20代後半から30代半ばぐらいの印象ですよ。警察をはめてやるとか書いてありましたし、ITについても相当な知識があります。職業としてプログラマーやエンジニアをしているぐらいの知識で、2ちゃんねるなどにも親しんでいます」

   産経新聞の報道では、メールにあったパズルには、ファイナルファンタジーXなど10年ほど前にはやったゲームなどが取り上げられていた。とすると、そのころにはゲームを楽しんでいた可能性があるわけで、このことからも10代の線は薄いようだ。

   犯人の狙いは不明な部分が多いが、落合弁護士は、「警察にネガティブな感情を持っているのは間違いないでしょう。リスクを冒してまでネコに首輪をはめていることから、自己顕示欲が強まっている可能性があります」と言う。

「検挙できないと、模倣犯が次々に出てくる」

   犯人は特定の難しいネット上を離れ、なぜわざわざリスクを冒すような行動に出たのか。

   東京地検特捜部副部長出身の若狭勝弁護士は、3つの可能性があると指摘する。

   1つは、犯人が警察の捜査をかく乱しようとしたことだ。

「メールでミスしたとして自殺を予告したことがありましたが、今回はそれはウソだったと告白しています。結局、言っていることが変わっており、それによって、警察は犯人像についてとらえどころがなくなっています」

   例えば、犯人は防犯カメラのことをよく知っており、首輪を通りがかりの人に渡しネコにはめてもらって誤認逮捕させようとした、といった可能性もないとは言えないという。

   2つ目は、愉快犯として警察を挑発している可能性だ。

「強大な権限がある警察が難渋して、右往左往しているのを見るだけで面白いということです。ふつうはリスクを冒してまでやるとは考えられないかもしれませんが、ITスキルなどの自己顕示欲が強いことも考えられます」

   もっとも、メールで明かされたように、警察の捜査で被害を受けたとして、恨みを晴らすための犯行の可能性もあるとする。

「ネコに首輪を付けてまでやるというのは、普通の心理状態とはかなり違いますね。それだけ挑戦的で、あっと言わせたいという自己顕示欲が強いのかもしれません」

   逮捕されてもいいから、世間の注目を集めさせたいという心理が働いたこともなくはないと言う。

   若狭弁護士は、こうした事件の発生は、世間に対して警鐘を鳴らしていることになると指摘する。

「この事件が検挙できないと、模倣犯が次々に出てくることにもつながります。そして、ウイルス攻撃で国の機関が機能しなくなったり、ライフラインで誤作動が起きたりしかねません。いわばサイバー戦争が起こる危険性です。国民の身体や生命に影響が出ることですから、真剣に対処を考えなければならないと思いますよ」
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