米ボストンのローガン国際空港に駐機していた日本航空(JAL)のボーイング787型機が、2013年1月7日(現地時間)に火災を起こした。発火源は機体後方にあったバッテリーだとみられている。787は11年にデビューしたばかりの最新鋭中型旅客機だが、ここ1か月ほどで、相次いで電気系統のトラブルに見舞われている。
補助動力装置(APU)のバッテリーから発火
火災が起こった機体は午前10時6分に成田からボストンに到着し、乗客172人と乗員11人が降りた直後の10時37分頃、JALの整備士が白煙が上がっているのを発見。小さな爆発がみられたとの情報もある。消防隊が駆けつけて消火活動にあたったところ、およそ50分後の11時20分頃に鎮火が確認された。乗員、乗客にけが人はいなかった。
発火したのは、客室後方の電気室にある補助動力装置(APU)のバッテリー。APUとは、メインエンジンが動いていない駐機中に電力や圧縮空気を供給するための設備だ。米国家運輸安全委員会(NTSB)が現地に担当者を派遣して原因を調べている。
787をめぐっては、2010年にテスト飛行中に電気室で火災が起こったことがあるが、すでに営業飛行に入った787の機材が火災を起こすのは初めてだとみられる。今回火災起こした「JA829J」は、12年12月下旬にJALに納入されたばかりだった。
12年12月だけで電気系統トラブル3件
従来の旅客機では、操縦系統の大半は油圧や圧縮空気が利用されているが、787では、これらを電気で操作するのが特徴。だが、12年12月には、電気系統に関連するトラブルが多発している。12月4日には、ヒューストン発ニュージャージ州のニューアーク行きのユナイテッド航空機が発電装置の故障でニューオリンズに緊急着陸しているし、12月17日には、同社の別の787が電気系統のトラブルを起こしている。カタール航空の787でも発電装置に問題が見つかり、修理のために一時期運用から外れていた。
日本の国土交通省は787を運航しているJALと全日空(ANA)にバッテリー点検を指示。両社では点検を進めている。