「今夏の参院選をにらみ、政権公約通りの安全運転を行った」
言い換えれば、戸別所得補償制度は存続する見通しになったわけだ。
そこで、農業分野で今年の最大の焦点は、農業団体が反対する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題になる。これについて林農相は、「我々の政権公約は聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対としている。公約をベースにきっちり考えていかないとならない」と述べ、慎重に対応する考えを示した。林農相は農水族議員ではなく、TPPに柔軟な政治家とみられているが、農相就任に当たっては「今夏の参院選をにらみ、政権公約通りの安全運転を行った」(農水省幹部)と見られている。
林農相はTPP関係国との事前協議についても、「情報開示が不十分。もう少し情報開示をして具体像を明らかにし、国民の議論に供すべきだ」と、民主党政権時代の農相と同様の発言をする一方、安倍首相が目指す日米同盟の強化との絡みでは、「米国との関係は安全保障から最も大事だが、TPPとは直接関係することではないと思っている。安全保障の分野はきちんとやるべきだが、TPPは経済なので、政権公約の考え方で対応する」と述べるなど、慎重な発言に終始している。