遭難が起きるのは「道迷い」「転落・滑落」が6割
夫婦山の場合、男性と連絡が取れなくなった1月5日~6日にかけては最低気温が氷点下10度で、積雪も記録されているなど条件は明神山よりも悪い。だが男性は地元の住民で、73歳の年齢でひとり雪山に向かったと伝えられていることから、現地の事情をある程度知っているとの思いがあったかもしれない。どこまで「冬山登山」の危険性を意識していただろうか。
一方、古賀志山で一時行方が分からなくなった男性は38歳と比較的若い。けががなかったことも幸いだったが、山中でひと晩過ごした後に無事保護された。
日本山岳協会がまとめた、過去5年間の冬山における遭難の発生状況をみると、全759件中247件と最も多いのは「道迷い」で、215件の「転落・滑落」がこれに続く。この2つだけで全体の6割を占めるほどだ。今回の明神山などの事故は雪山登山と比べて性質が違うとはいえ、被害にあった人は道に迷ったり滑落したりしている点から考えると、標高が低くても同じような理由で重大な事故につながることがわかる。