言論の自由めぐって中国メディア「大反乱」 共産党の「統制」どこまで続くのか

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   中国の有力紙の社説の内容が共産党幹部の指示で書き換えられ、これに反発した記者がストを構えるという異例の事態に発展している。

   別の有力雑誌も、民主化を求める文章を掲載した後にウェブサイトが見られなくなるなど、中国メディアは言論の自由をめぐって大騒ぎになっている。

休暇中の発行直前のタイミングで社説を書き換える

「南方週末」が「微博」で発表した声明文。記者側からは「ニセ声明」との批判が出ている
「南方週末」が「微博」で発表した声明文。記者側からは「ニセ声明」との批判が出ている

   騒動の渦中にあるのは、広東省の地元紙「南方週末」。グループ紙「南方日報」とともに、官僚の腐敗を指摘するなどの調査報道で知られている。

   「南方週末」の2013年1月3日付けの新年号の社説は、「中国の夢、立憲政治の夢」と題して民主化を求める内容を掲載する予定だった。ところが、実際に掲載された社説は「夢を追って」と題した共産党を称える内容だった。編集部が休暇に入っている発行直前のタイミングで、共産党の広東省委員会の宣伝部長の指示で書き換えられたとされる。

   1月4日になって同紙記者らは、真相解明と宣伝部長の辞任を求める抗議声明を発表。2度目の抗議声明によると、この宣伝部長の指示によって、12年だけで1000本以上の記事が書き換えを余儀なくされたり、ボツになったりしたという。

   記者による声明とは別に、北京大や精華大をはじめとする中国を代表する大学や、香港・台湾の大学教授も連名で宣伝部長の辞任を求める声明を発表。ネット上の署名も数が増えており、続々と応援団が登場している。

共産党の意を受けた新聞社の幹部が圧力をかけた?

   当局も反論を試みているようだ。

   13年1月6日夜には、中国版ツイッターにあたる「微博」に開設された「南方週末」の公式アカウントが、問題の社説について「本紙の責任者が原案を書いており、ネット上のうわさは事実ではない」とツイートし、社説の書き換えを否定した。

   この書き込みをめぐっては、共産党の意を受けた新聞社の幹部が、「微博」アカウントの担当者に対して、パスワードを教えるように圧力をかけたとの指摘もある。「微博」では、記者を名乗る人から

「書き込みは編集部を代表するものではない」
「編集部は『ニセ声明』と戦っていく。真相が解明されるまで編集業務は行わない」

といった書き込みもあり、記者側はストライキに踏み切る構えだ。

   一連の騒動は北京にも波及している。共産党系の「環球時報」は、1月7日の社説で、「南方週末」編集部の主張が非常に過激であることを指摘。

「中国の全てのメディアの発展は、現実的に中国の発展に即したものであるべきで、メディアの改革は、中国全体の改革の一部分でなければならない。メディアが中国の『政治特区』にはなり得ない」

と、「南方週末」が急進的だとして批判した。

   このような動きは「南方週末」だけではない。リベラルな論調で知られる雑誌「炎黄春秋」が、表現の自由や結社の自由を求める文章を掲載したところ、1月4日にはウェブサイトへのアクセスが一時的にブロックされた。

   一連の「検閲」ともとれる動きには、国内の動揺を押さえ込む狙いがあるとみられるが、こうしたやり方がいつまでできるのかは疑問だ。最高指導者に就任した習近平氏の新体制は正念場に立たされた。

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