ルノーよりも日産の技術が欲しかった?
しかし、アフトワズの再建が今一つ進まないなか、2010年末のゴーン氏とロシアのプーチン首相(現大統領)との協議から、事態は動き出す。プーチン氏がアフトワズに追加出資し再建を加速させるよう要請したのだ。アフトワズとしてはルノーよりも日産の技術が欲しかった面もあったようだが、以前からの「ゴーン・プーチン関係」の親密さも影響したようだ。その後の協議は2年ほど続いたが、結局、日産も出資することでルノー・日産としてアフトワズ株の実質過半を握り、ゴーン氏がアフトワズ会長になることで決着した。アフトワズの工場で日産、ルノーブランド車を生産するなど関係を強化し、3社として2016年以降、年間170万台の生産能力を持つ。日本で日産は「生産100万台死守」を掲げているわけだから、3社連合として日本をはるかにしのぐ生産拠点にもなる。
思い返せば90年代末に日産が傾いた時に出資し現れたのもルノーであり、ゴーン氏だった。この再建請負人による「自動車世界一」が現実になることがあるのかもしれない。