日産自動車と仏ルノーの連合は2012年12月12日、ロシアの自動車最大手、アフトワズを買収し、経営権を取得すると発表した。2013年6月以降、アフトワズの会長に日産のカルロス・ゴーン社長が就任する。
「日産・ルノー・アフトワズ連合」の2011年の世界販売台数は、米ゼネラル・モーターズ、独フォルクスワーゲンに次ぐ3位。2012年はトヨタ自動車が東日本大震災の影響を克服し首位に立つ見込みだが、それでも日産・ルノー・アフトワズ3社連合は「4強」の一角を占める。成長が見込めるロシア市場を背景に3社連合がグッと存在感を増す。
ロシア市場は2012年に前年比10%伸びて290万台
「ラーダ」ブランドを展開するアフトワズはリーマン・ショック以降、経営不振に陥って再建の途上にある。とはいえロシアでの新車販売台数は2011年で53万台あり、シェア2割超となお首位で、ブランド力もある。
日産によると、ロシア市場は2012年に前年比10%近く伸びて290万台程度になるという。現状で2000万台をうかがう中国や、1400万台は超えそうな米国と比べれば規模は小さいが、「ロシアは今まさに欧州最大の市場になろうとしている」(アフトワズのセルゲイ・チェメゾフ会長)というように、勢いがある。「2020年までに400万台を超える」との見方もあり、潜在的な成長力は高い。
それだけに2014年6月までにルノー・日産でアフトワズ株を実質的に過半持って経営権を取得し、ラーダブランド車をてこ入れする一方、ロシアで生産する日産、ルノー各ブランドの販売も上向かせることは3社連合にとって有意義な戦略となりそうだ。
アフトワズは、もともとルノー単独で2008年に株式25%を取得し、技術移転なども含め、再建を支援してきた。ただ、日産幹部によると「国策会社」のような面もあるだけに、ロシア政府は当時、「25%で終わり、これ以上の出資はない」と言っていたという。